2013.03.13 wed

新聞1面トップ 2013年3月13日【解説】ネット時代の対話力

新聞1面トップ 2013年3月13日【解説】ネット時代の対話力


【リグミの解説】

TPPの3つの視点
安倍首相によるTPP参加表明を15日に控え、読売、朝日、東京の3紙が1面記事を載せています。読売新聞は、最も「政府広報」寄りの内容で、TPP参加表明に反発している農業
団体などに対して、「首相は記者会見で丁寧な説明をする考え」と伝えています。

朝日新聞は、「米国は自動車産業を守り、日本は農業を守る」という物々交換的な事前交渉
が、参加表明の前提になっていることを客観的に伝えています。

一方、東京新聞は、日本が参加表明しても正式参加が認められるまで交渉経緯の資料等にアクセスできず、事
前準備を進められない不利を指摘。さらに、米国の担当者が「日本には一切の議論の蒸し返しは許されず、協定素案の字句の訂正も許されない」と述べた、と伝えています。

新聞の役割が、時の政府のチェックや問題点の指摘、異なった視点の提供などにあるとしたら、「政府広報」のスタンプがいつも1面の大半を占める事態は健全とはいえません。特に読売新聞の記事は、安倍首相の正式表明の「露払い」の役割をしようとしているようにも見えることに疑問を感じます。朝日新聞も「政府広報」という点では大同小異ですが、米国と日本の事前交渉のバーター的な側面を指摘している点で、やや客観的な視点を提供しています。

これに対して東京新聞は、米国やニュージーランドの市民団体の情報を探り、問題点を指摘している点でジャーナリズムの基本に忠実な記事といえます。交渉事は、するのであれば早い段階で有利に進めるのが原則です。遅れて参加する者は、圧倒的交渉力がない限り、不利な条件を飲まされることを覚悟しなければなりません。そうした基本を指摘している点で、読者にとって有用な記事になっています。

大震災関連のネット発信
朝日新聞は、連載企画の「ビリオネア」(10億人を超す人々が発信する世界)で、東日本大震災以後のネット情報のビッグデータ分析をしています。「節電」に関する検索件
数の分析では、東電が計画停電を発表した震災直後を100とすると、2011年の半年ぐらいは10~20で推移。東電、東北電、関電が夏に節電要請を出したときは瞬間的に100近くまで増加。2011年の秋以降は、10%を切る状況が続き、最近は数%―(以上、グラフの読み取り)。

最近は、公共施設での節電もあまり目立たなくなり、原発事故以前と同じ感
覚で電気を消費する傾向が公私ともに増えているように感じていましたが、ネット検索データでもそのことが間接的に証明されたとも言えます。

一方、原発に関するツイッター分析も出ています。こちらのグラフは2012年2月からですが、昨年の3月11日は約6万件のツイートがあった。全原発が停止した5月6日には7万件超、さらに大飯原発3号機が再稼働した7月1日には11万件近くに跳ね上がりました。以後、漸減し1日約3万件になりましたが、12月16日の衆院選で再び6万件に。以後最近までの傾向は、2~3万件に落ちています。

ネット時代の対話力
首相官邸前デモでも、ツイッターによる拡散効果で、今までデモに参加しなかった人々が参加するきっかけを作りました。ツイッター等のソーシャルメディアが、「アラブの
春」に準じる「日本の春」や「東京の春」をもたらす機運はありましたが、拡散も早いが収束も早い特徴があり、骨太で息の長いムーブメントを作りだすところまでは到達していないように見えます。

ネット上でも、自分の「好み」の情報だけを選別して満足する傾向があると言われます。異なった「ビュー」にも触れ、互いに率直に「対話」する姿勢があって初めて、本当に社会的なムーブメントが日本に定着することになると思います。タイムラインをどんどん流れていく情報は、瞬時に過去化します。

ネット時代になって、情報の「拡散力」は急進展しましたが、「対話力」はまだ未成熟な段階です。SNS上で日常の出来事のシェアは増えました。「その次」にステップアップする準備は整いつつあります。カギを握るのは、「過去」を忘れないことです。「対話」は、「過去」を「現在」に呼び戻し、再生するものでもあります。本当のテーマは、常に「今ここ」に存在しています。


(文責:梅本龍夫)





① 【政府広報】 「TPP交渉参加15日表明」

  • 安倍首相は、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を15日に表明する考えを固めた。米国などの承認が必要なため、実際の交渉参加は9月になる見込み。交渉参加には国内の農業団体などが反対しているため、首相は参加の意義を丁寧に説明する意向だ。


② 【独自取材】 「日銀人事、国会同意へ」

  • 民主党は12日、日銀総裁に黒田東彦・アジア開銀総裁、副総裁に中曽宏・日銀理事を起用する政府人事案に同意することを決定した。もう一人に副総裁候補の岩田規久男・学習院大教授の人事案には反対するが、みんなの党などが賛成のため、3氏とも衆参両院で可決・同意される見通し。


③ 【独自取材】 「東大が推薦入試」

  • 東京大学は、2次試験の後期日程を廃止し、推薦入試の導入を検討している。後期日程入試の定員100人全員を振り分ける方針。テストの点数以外の多様な価値観を評価する入試方法を探る。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【連続企画】 「防災意識、太平洋側高め ~ビリオメディア」

  • ヤフーの協力で「防災グッズ」の検索頻度を調査。地震・津波の懸念が強い高知県、静岡県、和歌山県が多かった。政府が昨年12月に示した「全国地震動予測地図」で地震確率が高いとされた関東から四国にかけての地域で、リスク意識が共有されている。


② 【政府広報】 「TPP交渉参加、首相15日に表明」

  • 安倍首相は、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加表明を15日にする考えを固めた。米国の議会承認を経て、早ければ9月の交渉会合から日本は参加する。米国が自動車産業を守るのと引き換えに、日本は農産物を守る交渉戦略を取る。


③ 【政府広報】 「食料、自給率より生産力」

  • 農林水産省は、「食料自給率」に重点を置く農業政策を改め、「食料自給力」を政策目標にすることを検討している。自給率は、カロリーと生産額で見るが、カロリーを重視してきた。同省は予算投入を続けているが、カロリー自給率は上がっていない。自給力では、国内の総合的な農業生産力を示す。


(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【独自取材】 「線量計持たず捜索活動」

  • 東京電力福島第1原発事故後の2011年4月から5月、福島県双葉町の職員3人が、警戒区域での津波による行方不明者の捜索立ち合いの際に、不十分な装備で線量計も装着していなかったことが判明した。専門家は、行政の責任を問い、追跡調査と危機管理対策の整備の必要性を指摘している。


② 【独自取材】 「中国包囲、日本に期待」

  • フィリピンのデルロサリオ外相は、「日本国民が防衛力の正常化を望むなら我々は歓迎する」と述べた。東シナ海や南シナ海で影響力を強めている中国を念頭に、日本政府・与党が集団的自衛権の行使容認を検討していることを支持した。親米国を中心とした軍事同盟結成の構想も示した。


③ 【独自取材】 「東大、推薦入試を検討」

  • 東京大学は、後期日程の2次試験の筆記テストを廃止し、推薦選抜する案を検討している。筆記試験だけに頼らず、多様な学生の確保につなげる狙いがある。東大では、入学者が一部進学校や都市部に偏ることへの危機感がある。ただ、「公平な選抜が確保できるか」など慎重意見もある。


(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【政府広報】 「消費税還元セール禁止」

  • 政府・自民党は12日、消費増税の際の「消費税還元セール」を禁止する方針を決めた。大手スーパーなどが、中小の商品納入企業に対して増税分の値上げを認めないといった事態を引き起こさないようにするため。小売業界による価格表示の規制緩和要望は受け入れ、2017年3月末まで本体価格と税額を別表示する「外税」を認める。


② 【企業広報】 「トヨタ、満額回答へ」

  • トヨタ自動車は12日、2013年の春の労使交渉で、組合要求に3年連続で満額回答する方針。5ヵ月プラス30万円(約205万円)の年間一時金で、昨年を27万円上回る。マツダを除く自動車大手は、満額回答で足並みをそろえる。


③ 【連続企画】 「『自助努力型』広げる必要 ~年金消失、AIJの教訓(上)」

  • AIJ投資顧問は約2000億円の企業年金資産のほとんどを消失させた。AIJ事件は、相場の上昇を前提とした企業年金の問題を浮上させた。年金改革には、個人の自助努力に軸を移す視点も求められる。


(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「TPP協定素案、7月まで閲覧できず」

  • TPP(環太平洋連携協定)に交渉参加表明しても、政府は参加国と認められるまでの3ヵ月以上、協定条文の素案や交渉経緯を閲覧できないことが分かった。正確な情報を得るのが遅れ、日本が不利な状況で交渉を迫られるのは確実だ。


② 【独自取材】 「自殺12人、原発関連死」

  • 東京電力福島第1原発事故に関連して、福島県内で少なくても12人が自殺したことが分かった。原発関連訴訟の弁護団や市町村、地元農業団体への取材に基づく。震災関連死としての認定が確認されたのは2人。5人は申請していない。遺族が自治体に相談して断念した事例もあった。


③ 【連続企画】 「片寄せ合った村、引き裂かれ ~放射能がなかったら(3)」

  • 飯館村で酪農を営んでいた長谷川健一さん(59)は、「原発がなければ今までどおり仲良くやれたんだ。放射能はすべてをばらばらにするって、つくづく思う」とつぶやいた。村長の菅野典雄さん(66)の片腕として活動してきたが、早期帰村か否かで意見が分かれ、たもとを分かった。「心を分断するのが放射能災害」と菅野さんも語る。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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