2013.02.21 thu

新聞1面トップ 2013年2月21日【解説】世代間交流モデル

新聞1面トップ 2013年2月21日【解説】世代間交流モデル


【リグミの解説】

日本社会の4セグメント
本日の日経新聞1面3番記事は、シニア世代の中でも団塊世代に注目し、ネットを使いこなし趣味などで新しい仲間を集い、交流する姿を描いています。企業もここにビジネスチ
ャンスを見出しています。シニアが元気なことは、良いことです。ファッションやライフスタイル全般で、若者が主役となり、年長者も「肉体も精神も若い」ことに憧れる社会風潮が長く続いていますが、少子高齢化が明確になり、シニア世代が次第に社会現象やビジネスの中核になる可能性が出てきています。

同時に、自分たちが元気で楽しければそれでいいのか、という問題意識を持つことも大切だと思います。昨日の「リグミの解説」で、シニア世代とジュニア世代の「世代間格差」の問題に触れ、世代間をつなぐ活動の必要性について書きました。やや図式的で単純化しすぎのきらいはありますが、今の日本社会は、「シニア世代―ジュニア世代」と「正規雇用―非正規雇用」の2軸で分類した4セグメントに分かれていると見ることもできます(添付図)。

世代間格差、雇用格差
「得」をし「勝ち」を収めているのが正規雇用だったシニア世代です。特に大企業や公務員の出身者は一般に余裕があると言われます。リグミ・SNSにおける「まじめな雑談」
で、70代前半の男性は、「同世代はほとんど引退して年金生活をしていますが、大企業や公務員の職歴のある皆さんは、生活に余裕がありますね。大組織の幹部であった皆さんがとくにそうです」と語っています。

これに対して、ジュニア世代の特に非正規雇用者は、「損」をし「負け」ている状態に長く置かれています。1月13日の朝日新聞で「マクド難民」が報道されました(「リグミの解説」2013.01.13)。

筆者自身、企業のコンサルティング活動をする中で、新規事業の採用に関わることがありますが、非正規雇用を続けてきた30代の中には、まともに面
接ができない方もいます。社会常識を教えられる機会もないまま使い捨てにされ、プライドや自信を得る機会も与えられないまま、年だけ取っていく現実があります。どうしてこんなことになってしまったのかと、せつなくなる瞬間です。

世代間の還元活動
リグミ・SNSで発言された男性は、「経済的にもっとも恵まれた時代の恩恵を受けてきたわれわれの世代は、時代に乗り、流されるだけで、次世代のことを昔も今も真剣に考え
てたことがない、恩返しをやってない」と自省の言葉を述べています。50代の筆者にとっても、それは他人事ではない言葉として響いてきます。

まずは添付図にあるように、
戦後社会の繁栄の果実を手にした「☆印」のセグメントである恵まれたシニア層が、「X 印」のセグメントから抜け出せずに苦労しているジュニア層に、何らかの還元をしていく考え方と仕組みづくりを追求していくべきではないかと思います。

団塊世代は元来、エネルギーがあり、社会意識も高いものがあります。日本の次世代に思いやりをもって向き合い、何らかの還元策や社会改革の動きに関するイニシアティブを発揮したとき、日本は高齢化社会における世代交流モデルを打ち立て、世界に発信できる可能性もあります。


(文責:梅本龍夫)





① 【連続企画】 「医薬技術、産業化急げ ~医療革新」

  • 国内の医薬品や医療機器の研究水準は高く、技術力もあるのに、医療現場には外国製品が溢れる。厳しすぎる規制、古い制度、行政の縦割り構造が背景にある。
  • 人工心臓の研究で著名な桜井靖久・東京女子医大名誉教授は、生前に遠隔操作で手術をできる機械を構想していた。1970年代のことだ。しかし、現在世界で使われているのは、ダビンチという米国製の手術ロボットだ。ダビンチには、日本製の部品が多く使われていると言われる。
  • 日本は、医療現場のアイデアを育て製品化する際に、分業化の仕組みが確立していない。着想から完成品まで「先発完投型」でいくため、途中で頓挫する例が多い。過重な規制も医療機器への新規参入の壁になっている。


    ② 【政府広報】 「医療産業支援、強化」
    政府は20日、最先端の医療革新を安倍政権の成長戦略の1つに位置づけ、内閣官房の医療イノベーション推進室を「健康・医療戦略室」と改組し、医療産業の国際競争力を高める司令塔とする方針を固めた。

    ③ 【発表引用】 「WBC侍28人決定」
    第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表「侍ジャパン」の28選手が20日、選出された。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【独自取材】 「TPP交渉参加に意欲」

  • 安倍首相は20日、朝日新聞の単独インタビューで環太平洋経済連携協定(TPP)について、「国内総生産(世界)3位の日本が入るかどうかで重要性が変わる。聖域があるはずだから、それを確認したい」と述べ、交渉参加に意欲を示した。
  • 首相は、「聖域があるかないか、事務方の交渉で建前を乗り越えるのは難しい。首脳同士で確認したい」とし、日米首脳会談で関税撤廃の例外品目について意見交換する意向だ。
  • 自民党内の意見は二分されているが、首相は「交渉参加するかは私が決断する」「自民党は最後は総裁が決めたことをのみ込んできた。それが政権与党としての責任感だ」と自信を見せる。


    ② 【独自取材】 「4号機建屋、なお高線量」
    朝日新聞記者は20日、原子力規制庁の検査官に同行し、東京電力福島第1原発で爆発事故を起こした4号機の原子炉建屋内部に入った。廃炉作業は進むが、いまだにいたるところに事故の爪痕が残っている。

    ③ 【政府広報】 「エネ計画検討委、脱原発派を交代」
    経済産業省は、エネルギー基本計画を有識者会議を一新する。民主党政権時代に、脱原発を主張してきた有識者らを交代する。脱原発派の割合は下がると見られる。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【独自取材】 「原電、ウラン一部売却」

  • 日本原子力発電が、原発燃料のウランの一部を売却していたことが20日判明した。原発3基の再稼働見通しが立たず、4月支払い期限の借入金の返済原資を確保するため、当面使用しないウランの一部を手放したとみられる。
  • 軍事転用の恐れのあるウランは、売り主との長期契約が基本。手放す場合は、売り主の事業者に引き取ってもらう形があるが、購入価格を下回るため、「よほどの事態でないと売却しない」(大手電力幹部)。
  • 東京電力も資金繰りに苦しんでおり、ウラン売却を「選択肢の1つ」(幹部)として検討している。


    ② 【独自取材】 「イラン制裁『一部解除可能』」
    核開発を進めるイランに対し、国連安保理常任理事国とドイツの6ヵ国が行っている交渉の窓口となる欧州連合(EU)高官が、「制裁の一部解除はタブーではない」と語った。

    ③ 【政府広報】 「『TPP結論、参院選前』」
    安倍首相は20日、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加について、「7月の参院選以前に結論が出せると思う」との考えを明らかにした。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【独自取材】 「生産、中国比率下げ」

  • 企業が生産拠点を中国から他のアジア諸国に分散させる動きを進めている。
  • 中国以外で売る商品に関し中国生産の比率を下げる企業例は、以下の通り。▽船井電気=家電9割⇒5割以下、▽バンダイ=玩具96%⇒88%(2014年度)、▽イトーヨーカ堂=日本向けPB衣料8割⇒3割(2013年度)、▽ファーストリテイリング=衣料75%⇒60%台、▽AOKI=日本向けスーツ等7割⇒5割(最速3年後)、▽アシックス=シューズ類55%⇒40%以下(2013年度)―。
  • 中国の労働コスト上昇に対し、商品の価格競争力を維持するのが狙いだ。また日中関係の緊張もあり、中国の内需用以外の生産に関して、中国への過度の依存を避ける動きが強まっている。


    ② 【独自取材】 「iPhone増産凍結」
    台湾の鴻海精密工業は、米アップルのスマートフォン「iPhone」の主力生産工場の生産拡大を凍結した。iPhone5の販売の伸び悩みが改めて浮き彫りになった。

    ③ 【連続企画】 「趣味も仲間も自分で探す ~シニアが拓く」
    2011年の60~64歳のネット普及率は73.9%(総務省の通信利用動向調査)だ。若者同様にシニアも、ネットで人脈を広げる。団塊世代が持つ活力に企業も注目する。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【連続企画】 「『僕の皮膚感覚』で政策 ~猪瀬知事の研究(上)」

  • 東京都は、スウェーデンやインドネシアに匹敵する予算規模を持つ巨大自治体だ。猪瀬直樹都知事が初めて編成した2013年度予算案が、20日から都議会で審議される。
  • 自身の個人事務所に太陽光パネルを設置している猪瀬氏の皮膚感覚で、太陽光発電の普及のために、蓄電池を100万円以下で購入できるようにする必要があると判断。都の補助金制度を、予算案の筆頭に持ってきた。
  • 慶応大学院の小林光教授(環境政策論)は、「過剰な電力を原発から受けていたことに、多くの都民が3.11で気付いた。市場最多票の信託を受けた知事が、個人の実践を生かして発信するのはタイムリー。エコ普及の正念場だ」と語る。


    ② 【独自取材】 「景気優先で冷遇」
    文部科学省が要望していた、障害者の大学教育支援のための予算4億4千万円が、財務省に認められなかった。安倍政権は、経済浮揚に結び付きにくい障害者施策には熱心でないことが浮き彫りになった。

    ③ 【行政広報】 「『官僚主権』打破訴え」
    東京都の猪瀬知事は20日、初の施政方針演説を行い、「霞が関の壁を打ち破り、新しい政策を展開することで日本全体に改革のうねりを巻き起こす」と訴えた。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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