2013.01.19 sat

新聞1面トップ 2013年1月19日【解説】「普通の生活」とは

新聞1面トップ 2013年1月19日【解説】「普通の生活」とは


【リグミの解説】

アルジェリアにおけるテロの歴史
本日の新聞1面トップ記事は、全国紙4紙が「アルジェリアの人質事件」の続報です。まだ不明な点が多々ありますが、事件の全容が次第に明らかになってきています。事件の
背景解説としては、朝日新聞デジタルの記事(1月18日)と、毎日新聞の1月18日3面の西川恵・専門解説委員の記事が参考になりました。以下は、西川氏の解説の要約です。

  • アルジェリアは、1991年の総選挙でイスラム原理主義政党が8割以上の議席を獲得した
  • これに危機感をもった軍が実権を握り、同党を非合法化した
  • その結果、イスラム過激派は地下潜伏し、無差別テロを展開した
  • 文民政権が復活する1999年までに、知識人、ジャーナリスト、政治家、外国人など合わせて10万人が殺害された
  • この間、米欧諸国は原理主義政党を非合法化したアルジェリア政府を「非民主的」と非難し、「テロはアルジェリアの国内問題」と距離を置いた
  • 2001年の9.11テロで風向きが変わり、「アルジェリアはテロの最初の被害者」と認識されるようになった
  • 90年代の混乱は今もアルジェリアのトラウマとなり、隣国で民主化を求める「中東の春」が起きても、アルジェリアでは抑制が働いた
  • ようやくテロが終息したと思ったら、再び事件が起きたことのダメージは大きい
  • アルジェリア政府は、「テロ集団とは交渉せず」を原則としており、日米欧政府からの人命尊重要請との板挟みにある


テロの負の連鎖を断つ
テレビ報道などでは、イスラム過激派の指導者は、ずっと戦闘状態の中で人生を送ってきており、まともな生活を体験したことがないとの解説がありました。各国の紛争地帯
を渡り歩き、配下の部下たちを養っていく戦いの場を求めていることを示唆。思想信条に基づくテロではなく、金品を目当てとした犯罪行為として行っているケースもあるとのことでした。

アルジェリアでなぜ1991年にイスラム原理主義政党が8割もの議席を獲得できたのか。物事には、かならず始まりがあります。テロ犯罪という眼前の現実に対処する一方で、事の遠因まで遡り、解決の糸口を探る努力が必要です。過激化し地下に潜った活動家は、過激であることが「普通の生活」に変質してしまうのかもしれません。そのようになる前に、テロ集団に身を投じようとする若者たちを救済する手立てを考えないと、テロの負の連鎖を断つのは難しいのではないでしょうか。

戦後の家族構造
読売の1面3番記事は、「一人暮らし、全世帯の1/3」。国立社会保障・人口問題研究所が発表した統計の記事です。人口動態は、未来を予見する基本となるデータです。戦後、
社会構造の大きな変化が生まれました。農村から都市部に若者が集団就職しました。そうした人々を中心に、親兄弟親族と切り離された「核家族」を形成していきました。これが戦後の高度成長期の「普通生活者」の標準モデルとなりました。

高度成長による社会の変貌が明確になった1960年頃から25年を経た1985年時点で、日本の戦後の姿が、あるピークに達しました。ちょうど「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が喧伝された頃です。この時、総世帯数は3798万。うち核家族が2280万(60.0%)です。注目は、この段階で「大家族」(夫婦と子以外に両親や親族とも暮らす世帯)と言える世帯は727万(19.8%)に減少。一方、「単独世帯」(一人暮らし)が790万(20.2%)と「大家族」と同規模以上に増えています。

バブル後の家族構造の変化
これが、バブル景気とその後の「失われた20年」を経た25年後の2010年には、「核家族」は2928万世帯(56.5%)と依然として中心セグメントですが、「単独世帯」
(一人暮らし)が1679万世帯(32.4%)まで増えます。「大家族」は578万世帯(11.1)と一人暮らしの3分の1まで縮小します。

さらに、「核家族」の中味を見ていくと、社会の変貌ぶりがわかります。「夫婦と子」という「標準世帯」が1985年に1519万世帯だったのが、2010年で1447万世帯に微減。その間に、増えたのが「夫婦のみ」と「一人親と子」です。「夫婦のみ」は、1985年の521万世帯から、2010年には1086万世帯と2.1倍に増え、全世帯数の約2割(19.8%)に達します。「一人親と子」も、1985年の240万世帯から、2010年には454万世帯と1.9倍に増えます(全世帯の8.7%)。

「普通の生活」の再定義
戦後の核家族は、「夫婦に子供2人」というのが「普通」でした。今や、「夫婦に子供1人」も多いと思います。何よりも、「夫婦と子」(1519万世帯)よりも「一人暮らし」
(1679万世帯)が多く、「夫婦のみ」(1447万世帯)、「一人親と子」(454万世帯)と合わせると、実に6割以上(60.4%)になります。国立社会保障・人口問題研究所は、この傾向が今後も続くと見ており、さらに25年後の2035年には、「一人暮らし」(1846万世帯)、「夫婦のみ」(1050万世帯)、「一人親と子」(565万世帯)の3セグメントで、7割近く(69.8%)になります。

私たちは、「普通生活者」の姿が大変貌を遂げる時代を生きています。「もはや戦後ではない」という自覚のもと、家族やコミュニティの在り方を再定義し、新しい国家や社会全体のビジョンを構築していく時期を迎えています。

(文責:梅本龍夫)
 





① 【発表引用】 「軍、掃討作戦を続行」

  • アルジェリアの天然ガス関連施設での人質事件で、新たに4人の日本人の生存が確認された。施設にいた17人のうち、計7人の生存が確認されたことになる。
  • 17人の日本人は、いずれもプラント大手「日揮」の関係者。4人の健康状態に問題はない模様だ。
  • 人質の安否や死傷者についての情報は、依然として不透明だ。アルジェリア国営通信は、外国人のうち約30人の安否が依然不明だと伝えた。解放された外国人は、約100名という。


    ② 【政府広報】 「物価目標2%明記」
    麻生副総理・財務相、甘利経済財政相と日銀の白川総裁は、政府・日銀の合意文書の骨格を固めた。日銀は、2%のインフレ目標を設定する。

    ③ 【政府広報】 「一人暮らし、全世帯の1/3」
    国立社会保障・人口問題研究所は、「単独世帯」(一人暮らし)が、晩婚・未婚・離婚の増加などにより、2015年には33%になると予測している。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【発表引用】 「7邦人の無事確認」

  • アルジェリア南東部イナメナスでの人質事件で、プラント建設会社「日揮」は、新たに日本人社員4人の無事を確認。無事を確認された日本人は、計7人となった。残り10人の安否は不明。
  • 日揮によると、同社の外国人従業員も新たに7人の無事が確認されたが、なお51人の安否が不明だ。アルジェリア国営通信は、外国人人質は132人で、うち100人以上が解放されたという。
  • アルジェリア治安当局筋は、死亡したとされる人質30人のうち、国籍が判明したのは15人。うち7人が外国人で、日本人と英国人が各2人、フランス人1人が含まれるという。


    ② 【政府広報】 「除染業者、法令違反45%」
    厚生労働省は、福島県内で除染活動に従事する業者242社のうち、108社(45%)で計219件の労働関係の法令違反が見つかったと発表した。

    ③ 【政府広報】 「可視化対象、狭める2案」
    法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」は、取り調べの可視化の範囲について、現在の試行範囲よりも狭い対象となる2案を、新制度設計のたたき台として提示した。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【発表引用】 「日本人無事、新たに4人」

  • アルジェリア南東部イナメナスでの人質事件で、プラント建設会社「日揮」は、同社現地スタッフ78人のうち、新たに日本人4人の無事を確認、日本人計7人の安全が判明した。残り10人の安否は不明。
  • 日揮によると、現地スタッフ78人のうち61人は外国人で、うち10人の安全が確認されているが、51人の安否は不明だ。ロイター通信は、日本人2人を含む英仏などの従業員ら30人が死亡したと伝えた。
  • 英国のキャメロン首相は、アルジェリア首相からの情報として、「軍事作戦の第1段階は終了したが、他に人質があり、救出作戦は継続中」と明らかにした。


    ② 【政府広報】 「『全面』と『裁量』併記」
    法制審議会の特別部会は、新しい刑事司法制度の基本構想案で、取り調べの可視化について、①裁判員制度の対象は原則義務付け、②取調官の一定の裁量に委ねる―の両案を併記した。

    ③ 【政府広報】 「一般会計93兆円台」
    政府は、2013年度予算の一般会計の歳出を93兆円台とする方向だ。東日本大震災の復興費などを除いた一般会計で2011年度を上回り、過去最大を更新する。

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【発表引用】 「4邦人新たに無事確認」

  • アルジェリア東部で日本人らが拘束された人質事件で、アルジェリア政府軍は17日、イスラム武装勢力が立てこもるガス関連施設を攻撃し、多数の死者が出た模様だ。政府軍の鎮圧作戦による戦闘は、局地的に続いているようだ。
  • プラント大手「日揮」は、新たに日本人4人の安全が確認されたことを明らかにした。無事が確認できた日本人は計7人となった。残り10人の日本人スタッフの安否は依然不明。
  • 国営アルジェリア通信は、外国人人質は132人に上り、うち100人近くが解放されたと伝えた。一方、ロイター通信は、日本人2人、英国人2人、フランス人1人など計7人の外国人を含む30人の人質が死亡したと報じた。


    ② 【政府広報】 「住宅減税、最大400万円」
    政府・自民党は、2013年末期限の住宅減税を4年間延長し、所得税などからの控除額を最大10年間で400万円に上げる方向だ。所得税の新たな最高税率45%は、「4000万円超」に適用する方向。

    ③ 【政府広報】 「再生エネ、価格維持へ」
    経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について、2013年度も今年度の買い取り価格を据え置くことを軸に検討に入る。事業者に配慮し、普及に努める。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【都政広報】 「都予算案、5年ぶり増」

  • 東京都が18日に発表した2013年度の予算原案は、一般会計規模が6兆2640億円(前年度比1.9%増)で、5年ぶりの増加となった。
  • 予算の特徴は、以下の通り。▽防災や都市インフラの整備に重点配備、▽太陽光発電普及のための家庭用蓄電池の購入費補助、▽高齢者のケア付き住宅補助、▽小規模保育園への助成―。
  • 歳入は、税収が4兆2804億円(前年比3.9%増)で2年連続の増加となる。都債(都の借金)は、4485億円(同9.1%減)で3年ぶりの減少となる。基金(都の貯金)は、夏季五輪招致に備え、8741億円(同4.4%増)と5年ぶりに積み増す。


    ② 【発表引用】 「新たに4邦人無事」
    アルジェリア南東部の人質事件で、プラント大手「日揮」は、新たに4人の日本人駐在員の無事を確認したことを明らかにした。同社日本人駐在員17人中、計7人の安全が確認された。

    ③ 【都政広報】 「不燃化特区50ヵ所に拡大」
    猪瀬知事は18日、不燃化特区制度(木造住宅密集地域の解消を目指す制度)で、2020年度までに特区を50ヵ所設ける方針を発表した。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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