2013.01.09 wed

新聞1面トップ 2013年1月9日【解説】教育の原点

新聞1面トップ 2013年1月9日【解説】教育の原点


【リグミの解説】

教育資金
本日の読売新聞の1面トップは、「孫の教育資金、非課税に」という記事です。政府は、緊急経済対策の
柱の1つとして、時限措置の減税を検討しています。その中に、祖父母が孫に教育資金をまとめて贈与した場合、1人あたり1000万~1500万円を上限に贈与税の非課税にする、という案が出ています。

そもそも、子供ひとりの教育費は、どれぐらいかかるのでしょうか。当然、公立か市立かで大きく違います。また、直接費用だけでなく、塾や習い事などにどれぐらいかけるかでも、差が発生します。モデルケース的な数値として、文部科学省「平成18年度子どもの学習費調査」に基づいて、「lify.jp」がまとめているデータを引用します(lify.jp)。

幼稚園(3年間) 公立=  75万円  私立=162万円  (私立/公立=2.2倍)
小学校(6年間) 公立=200万円  私立=824万円  (私立/公立=4.1倍)
中学校(3年間) 公立=142万円  私立=381万円    (私立/公立=2.7倍)
高校 (3年間)  公立=156万円  私立=314万円    (私立/公立=2.0倍)
大学 (4年間)  国公立=518万円 私立文系=671万円 私立理系=828万円


この試算から、最も資金効率の良い「公立コース」で、幼稚園から大学卒業までで1091万円です。最も投資がかかる「私立コースで理系」では、2509万円です。

子育てという事業
子育てのためには、食費、洋服代など含めて、成人になるまでに、約3000万円かかると言われますが、こ
れは教育費が半分程度の考え方だと思います。教育投資の内容によっては、4000万~5000万円かかる可能性があります。さらに子育てにかかりきりになる母親(または父親)の労働時間を給与換算すると、相当の金額になるでしょう。

子育ては、このような無味乾燥な「投資計算」では算定できない無形の恩恵をもたらしてくれます。命の営みとして、これほど純粋なこともないかもしれません。しかし、現代社会では、教育費で最低1000万円と知っただけでも、子供を授かるのを諦める人たちも少なくないのではないでしょうか。

教育の根本を支えるもの
子育ては、個人に取っても、国家にとっても、「一大事業」です。お金がかかります。手間暇がかかりま
す。何よりも時間がかかります。20年後、個人は、家族は、コミュニティーは、そして国家は、どんな姿になっているのか。教育こそ、一番ビジョンと戦略が必要な活動です。

でも、お金も時間も代替できない最も最も大切なものが、教育の根幹を支えています。それは、「愛」です。無償で無条件の「愛」をどれだけ子供に注ぎ続けられるか。教育の本当の懐の深さ、慈愛こそが、国家のソフトパワーだと思います。少子化をマクロの問題として議論することは大切です。しかしその前に、子供にどれだけの「愛」を注げる社会になっているか、私たちは、胸に手を当ててじっと考えてみる必要があります。



(文責:梅本龍夫)





【記事要約】 「孫の教育資金、非課税に」

  • 政府の緊急経済対策の柱のひとつとして、減税措置がある。数年の時限措置として、祖父母が孫などに将来必要な教育資金をまとめて贈与した場合、1人あたり1000万~1500万円を上限に贈与税の非課税にする。
  • 法人税については、新規雇用のみならず、在籍している従業員の給与や賞与を増やして人件費総額が増加した場合も、減税対象とする。増加分の約1割を法人税から差し引ける。4月に創設する。雇用増を企業に促す制度として、2~3年程度の時限措置として導入する。
  • 省エネルギー設備など、環境関連投資を増やした企業の法人税額を減額する制度も、時限的に設ける。財政面に加え、税制面でも成長を後押しする。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





【記事要約】 「経済対策で防衛装置」

  • 防衛省は、今年度補正予算案の緊急経済対策として、1805億円を要求している。補正の要求総額は2124億円。過去最大だが、安倍政権が打ち出す防衛予算の拡大方針に基づく。自民党の大勝を受け、財務規律を優先する財務省も押し込まれ、満額を認める方針だ。
  • 緊急経済対策に関する防衛省の補正予算1805億円の内訳は、以下の通り。▽変化する安全保障環境への対応=605億円、▽部隊等の通信機能強化=503億円、▽装備品等の更新・近代化=429億円、▽駐屯地・基地党の整備=168億円、▽地域活性化=100億円―。
  • 要求内容は、経済対策として疑問な点もある。自民党国防部会で防衛省幹部の説明を受けた出席議員は、「予算委員会では野党が『何が緊急経済対策だ』と言ってくる。野党の追及を想定し、理論武装するように」と指摘した。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





【記事要約】 「国の支出10.3兆円」

  • 政府の研究経済対策は、以下の3本柱から成る。①「成長による富の創出<3.0兆円>」=民間企業の活性化、②「復興防災対策<3.7兆円>」、③「暮らしの安心・地域活性化<1.9兆円>」=生活・地域支援―。
  • 対策関連の国の支出は、10.3兆円。基礎年金の国庫負担分約2.6兆円などを加えた2012年度補正予算案の総額は、約13.1兆円。地方自治体や民間企業の負担を合わせた事業規模は、20兆円超となる。
  • 安倍政権は、今回の緊急経済対策と2012年度補正予算案で、大規模な財政出動に踏み切る。2012年度の新規国債発行額は50兆円近くとなり、民主党政権が財政規律の目安とした44兆円を大きくはみ出す。

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





【記事要約】 「原発に非常用冷却施設」

  • 原子力規制委員会が原子力発電所に適用する、新たな安全基準の原案が明らかになった。東京電力福島第1原発事故を教訓とし、「あらゆる過酷な事故は起こりうる」との認識を基礎に置く。
  • 新安全基準で求められる主な対策は、以下の通り。▽非常用原子炉冷却施設、▽非常用電源、▽耐震性の強化、▽フィルター付き排気設備、▽防波堤のかさ上げ、▽防水扉、▽放水砲―。
  • 「津波や地震」と合わせ、日本が出遅れている「航空機の墜落」「テロ」を考慮した厳しい規制となる。一部の対策には、猶予期間を設け、電力会社が安全強化計画を示せば、再稼働を認める余地を残す見通しだ。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





【記事要約】 「復興予算、目的外13億円」

  • 2012年度予算などで東日本大震災の復興予算として不適切だと批判された、被災地以外での税務署耐震化工事が、財務省によって2013年度の復興特別会計の概算要求にも盛り込まれていた。自民党の河野太郎議員の指摘で明らかになった。
  • 財務省が示した「大型エックス線検査装置の復旧等」事業の内訳は、以下の通り(1000万円単位で四捨五入)。①「東日本大震災で使用不能となった仙台空港の大型エックス線検査装置の復旧」=12億1000万円、②「復興増税の導入に伴う国税庁のシステム改修」=8億円、③「税務署の耐震改修(大阪府、兵庫県)」=3億2000万円、④「その他」=1億2000万円―。
  • 上記②③④は、「等」の内訳として疑問が残る。河野氏は、自民党財務金融部会で「25億円のうち13億円は復興に直接関係ない」と財務省に見直しを要求した。各省庁の概算要求は、11日が締切り。他にも不適切な事業が含まれている可能性がある。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)

 




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