2012.12.28 fri

新聞1面トップ 2012年12月28日【解説】日本の未来像を探求する

新聞1面トップ 2012年12月28日【解説】日本の未来像を探求する


【リグミの解説】

衆院選後の世論調査
本日の新聞1面トップは、読売と毎日が衆院選後の世論調査です。朝日、日経も1面の2番記事が世論調査
です。東京新聞は、共同通信の世論調査を掲載しています。

安倍内閣の支持率
読売: 「支持する」65%  「支持しない」27%  (支持/不支持=2.4倍)
朝日: 「支持する」59%  「支持しない」24%  (支持/不支持=2.5倍)
毎日: 「支持する」52%  「支持しない」26%  (支持/不支持=2.0倍)
日経: 「支持する」62%  「支持しない」29%  (支持/不支持=2.1倍)
共同: 「支持する」62%  「支持しない」22%  (支持/不支持=2.8倍)


どの調査でも「支持」が5割以上あり、不支持との比較で2倍以上になっています。自民党を積極的に選択した有権者は少なかったことが、前回の世論調査で浮彫りになりましたが、自民党の得票率「小選挙区=43%」「比例選=28%」に比べ、高い支持率となっています。「政権を取った以上はがんばれ」という応援姿勢でしょうか、あるいは、安倍政権のスタートを見て期待感が高まっているからでしょうか。

支持理由(択一の質問)
読売: ①「これまでの内閣より良い」41% ②「政策に期待」20% ③「自民中心だから」12%
朝日: ①「政策の面」39% ②「自民中心だから」25% ③「なんとなく」18%
毎日: ①「政治の変化期待」54% ②「政策に期待」22% ③「自民党だから」13%
共同: ①「経済政策に期待」30% ②「他に適当な人がいない」27% ③「首相を信頼」12%


答を選択する質問なので、各紙の結果にばらつきがあります。全体傾向を解釈すると、「第1に、政治の変化を期待する(5割)」「第2に、経済政策に期待する(3割)」「第3に、自民党だから(2割)」となるでしょうか。ただし、3番目の「自民党だから」の積極支持は半分ぐらいで、残りは他に選択肢がない、というニュナンスと思われます。

支持政党(カッコ内は前回調査比)
読売: 自民党38%        民主党9%       日本維新の会 8%
朝日: 自民党36% (+5) 民主党8%(-2) 日本維新の会 8%(-1)
毎日: 自民党31%(+14) 民主党7%(-4) 日本維新の会14%(+4)
共同: 自民党34% (+4) 民主党9%(-4) 日本維新の会13%(-3)


自民党支持が3分の1程度の上がっています。支持理由の分析(解釈)と合わせると、「自民党の積極支持ではないが、経済政策には期待が持てるし、何よりも政治の変化を求めたい」という解釈が可能かと思います。

個別政策の評価
読売: 「安全な原発の再稼働」     賛成46% 反対45%
朝日: 「憲法9条改正して国防軍」   賛成32% 反対53%
毎日: 「防災用の公共事業増大」    賛成37% 反対53% (注:共同では、賛成63% 反対25%)
共同: 「物価上昇率2%目標の導入」 賛成55% 反対31%


各調査で、質問の仕方が違うため、答の傾向も変わります。わかりやすい例が、毎日と共同の「防災用の公共事業増大」です。共同は単純に評価を聞き、毎日は財政規律のことも指摘しています。その結果、共同の回答者はシンプルに反応し、毎日の回答者は慎重に反応したと推測されます。

世論調査のまとめ
総体として、以下の解釈が成り立つと思います。

  1. 民主党がダメで、第3極も未知数なので、国民は安定した自民党を選択したことを(自民党を選択しなかった有権者も)容認している
  2. 自民党の経済政策への期待感は高まっている
  3. 原発・エネルギー、憲法改正、教育など、個別政策についてまで自民党に白紙委任したわけではない

探求プロセスの開始
投票後もすべて政権に一任せず、個別政策の推進プロセスを当事者として監視し意見表明し続けることが
、3.11以後の民意の示し方になります。国民は、新政権が日本を良い方向に導くことを希望しています。真に「良い方向」と何なのか、それは政治家も有権者も回答を持ち合わせていません。日本の未来像をじっくりと明らかにしていく、複雑で奥深い探求プロセスが始まりました。

(文責:梅本龍夫)
 





【記事要約】 「安倍内閣支持65%」

  • 読売新聞は26~27日、全国世論調査をした。電話方式(RDD)で、有効回答は1039人(回答率57%)。第2次安倍内閣の支持率は、65%、不支持は27%だった。支持率は、第1次内閣時(2006年9月)の70%は下回ったが、野田内閣(2011年9月)と並ぶ歴代5位の高さ(1978年の調査開始以来)。
  • 内閣の支持理由は、以下の通り。▽「これまでの内閣よりよい」41%、▽「政策に期待できる」20%、▽「自民党中心の政党だから」12%、▽「首相が信頼できる」9%、▽「閣僚の顔ぶれがよい」7%、▽「首相に指導力がある」6%―。
  • 「安倍内閣に優先して取り組んでほしいもの」は、以下の通り(複数回答)。▽「景気や雇用」93%、▽「東日本大震災の復興」93%、▽「外交や安全保障」81%、▽「社会保障と税の一体改革」74%、▽「原子力発電などエネルギー政策」60%、▽「選挙制度改革」50%、▽「地方分権」49%、▽「憲法改正」36%、▽「TPP、環太平洋経済連携協定への参加」=34%―。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/





【記事要約】 「大飯、活断層なら停止指示」

  • 原子力規制員会の田中俊一委員長は27日、関西電力大飯原発の重要施設直下に活断層があれば、関電に稼働停止を指示する方針を明らかにした。差し迫った危機とまではいえないため、原子炉等規制法での停止命令を出すのは難しいとの認識を示した。
  • 田中委員長は、日本原子力発電敦賀原発については、原子炉建屋直下に活断層がある可能性が高く、安全審査をできる状態になく、廃炉にせざるを得ないとの見解を示した。廃炉は日本原電の判断になるが「稼働できない原発をいつまでも持っているような電力会社はない」と語った。
  • 全原発の再稼働を3年間で判断するという安倍政権の方針については、最新の知見による安全基準に既存の原発が適合しているか判断する必要があり、「審査に時間がかかり無理」との見方を示した。自公連立政権の合意文書では、政権は規制委の判断を尊重するとしている。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/





【記事要約】 「安倍内閣支持52%」

  • 毎日新聞は26~27日、全国世論調査をした。電話方式(RDS)で、有効回答は856人(回答率54%)。第2次安倍内閣の支持率は、52%、不支持は26%だった。「関心がない」が21%あった。第1次安倍内閣(2006年9月)の発足時の支持率は、67%で、今回は15ポイント低い。
  • 「自民党が政権奪還したことで国民生活は良くなるか」=▽「良くなる」28%、▽「悪くなる」7%、▽「変わらない」62%―。(自民党支持層では「良くなる」が59%、無党派層は「変わらない」75%)。
  • 内閣の顔ぶれについて=▽「期待できる」45%、▽「期待できない」49%―。女性2人の党三役起用について=▽「評価する」45%、▽「評価しない」48%―。参院で否決された法案を3分の2超の議席で再可決することについて=▽「慎重にすべきだ」76%、▽「積極的に活用すべきだ」18%―。

(毎日jp http://mainichi.jp/





【記事要約】 「政策・企業収益に期待」

  • 27日の日経平均の終値は1万0322円98銭となり、年初来高値を更新。東日本大震災直前の水準まであと110円となった。売買代金は、同時期の3倍増。株式市場への高水準の資金流入が続いている。
  • 株高がもたらす効果は、以下の通り。▽株式含み損益の改善=主要100社9月末比7700億円、▽企業年金の利回り改善=プラス3%前後(2012年度、株高が続く場合)、▽新規上場が回復=12月は5年半ぶりの高水準、▽家計保有の株式時価上昇=昨年末比、約8兆円増―。
  • 政策への期待とともに、円高修正で輸出企業の収益が押し上げらるとの見方が広がっている。多くの企業は1ドル=80円、1ユーロ=100円で計画を組んでいる。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/





【記事要約】 「危うさはらむ急転換 ~安倍政権の行く先①」

  • 自民党政権が本格始動し、民主党政権の3年3ヵ月の軌跡が否定され、保守的な安倍カラーに早々に塗る変えられようとしている。5年ぶりに復帰した安倍首相は、日本をどこに導こうとしているのか。
  • 安倍政権が表明した民主党からの政策転換は、以下の通り。▽安倍首相=「集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の見直し」「経済財政諮問委員会の再開」、▽麻生財務相=「年間44兆円の国債発行枠の突破」、▽菅官房長官=「国家戦略会議の廃止」「行政刷新会議の廃止」「事務次官会議の活用」、▽茂木経産相=「『原発ゼロ』政策の再検討」、▽下村文科相=「高校授業料無償化で所得制限検討」、▽田村厚労相=「生活保護費の1割引き下げ」、林農相=「農家への戸別所得補償制度の見直し検討」、根元復興相=「復興予算(5年間で19兆円)の上限見直し」―。
  • 安倍政権の打ち出す政策は、自民党が政権を失う前の政策を復活させたものがほとんど。安倍首相は、「自民党は変わった」と強弁するが、時計の針が戻った印象をぬぐえない。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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