2012.12.26 wed

新聞1面トップ 2012年12月26日【解説】日本の本気

新聞1面トップ 2012年12月26日【解説】日本の本気


【リグミの解説】

党三役に女性2人
本日の新聞1面トップは、読売、朝日、毎日、日経が自民党の安倍総裁の新政権の閣僚人事の記事です。
各紙内容は大同小異ですが、アピールポイントが少しずつ違います。読売と毎日は、「女性2人が党三役に起用」されたことにスポットライトを当てています。朝日は、「国土強靭化担当相」の新設に着目。日経は、「官邸主導による経済再生」を目指す組織人事を中心に報じています。

女性の活躍は、社会の多様化の指標になります。昨日の「リグミの解説」で、韓国初の女性大統領の話題と比較し、第96代首相に就任する安倍晋三氏を含めて、日本の歴代首相はすべて男性であることを指摘しました。安倍氏は、5人の女性閣僚の登用を検討していると過去に発言していましたが、2~3人に留まりそうです。

参院選向けの広告塔
安倍氏は、「自民党が変わった、ということ人事において示し、来年の参院選で勝ち抜く体制」と強調し
ています。確かに、安倍総裁の両隣に高市早苗氏(政調会長に起用)と野田聖子氏(総務会長に起用)が並ぶ新聞1面の写真は新鮮です。でもこれが、安倍氏の発言通りの意味だとしたら、底の浅いものと言わざるを得ません。

企業において、女性を役員に登用し、広報塔の役割を担わせ動きは、何十年も前から繰り返されています。しかし今日でも、企業の執行部は(そして管理職も担当レベルも)男性社会です。少し古いデータですが、全上場企業の女性役員比率は、2009年で1%強です(参照:東洋経済)。女性をメインターゲットとする消費財の企業の企画会議がすべて男性で成されることを「変だ」と感じる人が少ないのも、日本企業の特徴です。

女性が示す日本の本気
政治や経済の中枢に女性が極端に少ないのは、それに値する人材がいないからだ、女性の意識や意欲が低
いことも問題だ、とする主張もあります。一定の現実がそこにあると思いますが、これは「鶏が先か、卵が先か」の議論で、現実を変えようとしない言い訳と大差ありません。扉は閉ざしたままにするか、大きく開くか、どちらかしかありません。ちょっと開けて外を覗いて、「やっぱりいい人材はいない」、と決めつけて扉を閉じれば、何も変わりません。

憲法改正や教育の制度改革の前に、日本が本気だということを示す最高の指標のひとつは、女性の登用です。それも、広告塔のような中途半端で底の浅い目的のためでなく、日本は多様で奥深い豊かな国なんだということを身をもって示す、「ほんもの」の人事を断行することが肝要です。女性が、社会の中枢に不可欠の存在として迎え入れられたとき、「日本は変われる。日本の未来は明るい」、そう本当に実感できるようになると思います。

(文責:梅本龍夫)
 





【記事要約】 「自民三役、女性2氏」

  • 自民党の安倍総裁は25日、新政権に向けた党役員人事で、政調会長に高市早苗・党広報部長、総務会長に野田聖子・元消費者相が起用した。自民党の三役に女性2人が同時に就任するのは初めて。
  • 安倍氏は「自民党が変わった、ということを人事において示す意味がある」と説明。留任の石破幹事長と高村正彦副総裁と合わせ、党の陣容が固まった。
  • 閣僚人事では、新たに防衛相に小野寺五典・元外務副大臣、農相に林芳正・元防衛相の就任が固まった。ポスト調整中は、以下の通り。▽石原伸晃、▽山本一太、▽小渕優子―。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/





【記事要約】 「小野寺防衛相・林農水相」

  • 自民党の安倍総裁は、防衛相に小野寺五典・元外務副大臣、農業水産相に林芳正・元党政調会長代理の起用を決めた。
  • 総務会長に野田聖子・元消費者行政相、政調会長に高市早苗・元少子化相を起用。政権与党として初めて党三役に女性を登用することで、参院選に向けた布石とする。
  • 組閣の目玉として、「国土強靭化」担当相を新設。国会公務員委員長に起用される古谷圭司・元経済産業副大臣が兼務する。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/





【記事要約】 「党三役に女性2人」

  • 自民党の安倍総裁は25日、新政権に向けた党役員人事で、政調会長に高市早苗・党広報部長、総務会長に野田聖子・元消費者相を起用した。石破幹事長と高村正彦副総裁は留任。
  • 党三役に女性2人を起用した件について、安倍総裁は「来年の参院選に勝って初めて中長期的な大きな目標に進んでいくことができる。自民党は変わったと示せる執行部にしたい」と、意図を説明した。
  • 安倍氏は26日、首相に指名される。今回が2度目。首相再登板は、戦後では吉田茂・元首相以来、64年ぶりとなる。

(毎日jp http://mainichi.jp/





【記事要約】 「官邸主導で経済再生」

  • 安倍氏は、自民党と公明党の連立政権において、官邸主導で経済再生に最優先で取り組む意向だ。安倍氏に近い麻生太郎・元首相を副総理・財務相・金融相に起用、甘利明氏は経済財政諮問会議と日本経済再生本部の統括に起用し、経済再生の要とする。
  • 安倍氏は、公明党の山口代表との党首会談。連立政権の合意文書で、「2%の物価上昇率目標を設定し大胆な金融緩和を断行してデフレを脱却を図る」と明記した。2012年度の本格的な大型補正予算案を編成し、2013年度予算案と連動させることも確認した。
  • 自民党の新執行部は、石破幹事長と高村副総裁を留任。総務会長に野田聖子氏、政調会長に高市早苗氏を起用。党三役が全員、無派閥は異例。党三役に女性2人が就任するのも初めてとなる。「自民党は変わったことを人事で示し、来年の参院選で勝ち抜く体制」と安倍氏は強調する。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/





【記事要約】 「福島の子、肥満傾向」

  • 文部科学省の2012年度学校保健統計調査速報によると、福島県の幼稚園から高校3年の子供に「肥満傾向」の割合が増えている。同省は、原発事故後に屋外活動を制限した学校が多く、運動不足が原因の1つだ」と分析する。
  • 身長別の標準体重より20%以上重い「肥満傾向」の割合は、前回調査(2010年度)より0.3~5.1ポイント増大した。各年次は、以下の通り。▽小1=前回比4.7ポイント増の9.7%、▽小3=5.1ポイント増の13.5%、▽中3=0.6ポイント増の11.5%、▽高3=1.4ポイント増の14.1%―。
  • 福島県教委は、「子どもの将来に影響が出ないような対策が必要だ。学校へのスポーツトレーナーの派遣や地域のスポーツ活動への参加などを進めていく」とする。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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