2012.12.03 mon

新聞1面トップ 2012年12月3日【解説】維持・破壊・創造のバランス

新聞1面トップ 2012年12月3日【解説】維持・破壊・創造のバランス


【リグミの解説】

トンネル崩落
本日の新聞1面トップは、読売、朝日、毎日、東京が「中央高速笹子トンネル天井崩落」の事故報道です。同ト
ンネルが開通したのは、1977年。日本が経済成長を続けていた時代です。35年間持ちこたえていた天井が崩落したのは、象徴的なことです。

人工物は、完成した瞬間から傷み始めます。人が上手に使い、維持管理を怠らなければ長持ちしますが、それでも経年変化による劣化は避けられません。日本の道路は、地方に行っても総じてどこも整備され、良好な状態を維持しています。しかし、手をかけなければ、やがてひび割れ、穴ぼこだらけになっていくでしょう。

経済が成長していた時代は、作り続けることで国は豊かになりました。経済が停滞する時代になると、作ったものを維持することにも苦労するようになります。飛行機は離陸時に最大の出力を使いますが、巡航飛行の時も大きな出力を維持する必要があります。高みに達したらもうこれぐらいでいいだろう、と手を抜いたら、たちまち落下が始まります。

衆院選関係の記事
トンネル事故がなければ、1面トップとなっていた記事が4紙の2番記事として掲載されています。主要政党の公約と、有権者の評価(世論調査)に関する記事です。

 

読売: 「自民19% 民主、維新13%」
衆院選に向けた連続世論調査の第2回です(11月30日~12月2日)。比例投票先は、11月23~25日の調査に対して、自民党は6ポイント低下、民主党は2ポイント上昇、日本維新の会は1ポイント低下。日本未来の党は、5%。「日本未来の党に期待する」が23%に対して、「期待しない」が62%。
 

朝日: 「自民20%、民主15%、維新9%」
衆院選に向けた連続世論調査の第3回です(12月1日~2日)。比例投票先は、11月23~25日の調査に対して、自民党は3ポイント低下、民主党は2ポイント上昇、日本維新の会は変化なし。日本未来の党は、3%。「日本未来の党に期待する」が23%に対して、「期待しない」が70%。

毎日: 「全原発10年で廃炉」
日本未来の党の公約「未来への約束」の記事。10年以内に全原発の廃炉を決める工程表を盛り込んだ「卒原発カ
リキュラム」の骨子を発表。子ども手当を月額2.6万円(年間31万2千円)支給。

東京: 「衆院選4党中心」
12政党が乱立する中、日本未来の党は民主、自民に次いで多い前衆院議員を抱え、日本維新の会と合わせ、4党
が衆院選の中心。未来の党は、他の3党に比べ、内政では公助を重視し、外交・安保ではハト派となるリベラル色が鮮明なのが特徴。
 

「維持」「破壊」「創造」のバランス
トンネルが掘られ、最初のひとりがそこを通り抜け、やがて多くの人々が往来を繰り返すようになると、貴重なインフラは当たり前の存在になります。誰がトンネルを作ることを思いついたのか、建築にどれだけの苦労があったか、人々は忘れてしまいます。そして、トンネルが崩落する日が来るとは思いもしません。

衆院選の争点の「原発・エネルギー」「社会保障」「外交・安保」「憲法」などはすべて、戦後に選択され構築されたものです。誰がどういう意図で作ったのか。それはどんな「便利」を社会にもたらしたのか。あるいはどんな「不都合」が堆積していったのか。

「維持」は、「創造」と同じぐらいエネルギーを必要とします。それを怠れば、今回のトンネル崩落事故のようなことが、日本中で発生するようになります。私たちは、現状を維持したいという気持ちや、目先の変化だけで満足しようとする安直さを捨て、何が真に「維持」するに値するものなのか、真剣に問い掛ける必要があります。そして何をあえて「破壊」しようとするのか。その先にはどのような「創造」があるのか。

戦後70年近く経っ
た今、「維持」「破壊」「創造」のダイナミックなサイクルを50年、100年の時間軸で構想すべきタイミングに来ています。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「トンネル天井崩落4人死亡」

  • 中央自動車道上り線笹子トンネル内で2日午前8時5分頃、コンクリート製の天井が崩落した。車3台が下敷きになり、2台が炎上した。
  • ワゴン車から2人の遺体と、乗用車から1人の遺体が見つかった。また下敷きになった保冷車の中で同僚に救助を求めていた男性運転手も死亡が確認された。
  • トンネル内は、路面から4.7メートルのところでコンクリート製の天井版によって隔てられている。天井板は金属製のつり棒でつり下げられており、この棒が落ちて天井板の崩落につながったとみられる。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「トンネル天井板、崩落」

  • 中央自動車道上り線笹子トンネル内で2日午前8時頃、天井のコンクリート板が長さ130メートルにわたり崩落した。県警によると、少なくとも3台が下敷きになり、複数の遺体が確認されている。
  • 崩落が起きたのは、換気のため天井部に設置されたコンクリート板で、1枚の重さは約1トン。国土交通省によると、高速道路でトンネルの天井が崩落した死亡事故は、過去にない。
  • 中日本高速によると、天井板は1977年の開通時から取り付けられ、これまで板を固定するボルトや金具を補修した記録はない。定期点検をしており、最近では今年9月に作業員が目視確認し、異常は見つからなかったという。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「トンネル崩落、死者複数」

  • 中央自動車道上り線笹子トンネル内で2日午前8時頃、コンクリート製の天井板が約130メートルにわたり崩落した。県警によると、下敷きになった3台の車から複数の遺体を発見した。
  • 中日本高速道路は、設備の老朽化について「今後原因を調査するが、そうした可能性もあるかもしれない」と述べた。県警は、業務上過失致死傷容疑で調べる。
  • 国土交通省は、国内の高速道路6社に対して、同じつり天井式のトンネルを緊急点検するよう近く指示する。東日本、中日本、西日本の高速道路3社管内で、つり天井式は20数ヵ所ある。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「『病院から施設へ』進まず」

  • 特別の治療が必要ないのに入院している高齢者を病院から介護施設に移す政策が進展していない。対応を先送りすれば、医療費の膨張や、不十分な介護体制が続くことになる。
  • 2006年、当時の自民・公明政権は、介護保険を使って入院する介護療養病床を2011年度までに全廃すると決定した。しかし、廃止を決めた2006年度末に、11万5千床だった介護療養病床は、2011年度末で68%にあたる7万8千床が残っている。一方、平均在院日数は、2011年度に平均311日と過去最高になり、2006年度時点の269日から42日も延びた。
  • 病院側では医師と収入の減少に警戒感が強い。医療機関に義務はなく、取り組みが停滞したため、民主党政権は2017年度末まで廃止期限を延長した。関係者が多い高齢者の社会保障は難題であり、政策論争が深まらない。終末期のサービスと負担の全体像が見えないと、国民の不安はなくならない。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「トンネル崩落、死者4人超」

  • 中央自動車道上り線笹子トンネル内で2日午前8時頃、コンクリート製の天井板が110メートル以上にわたり崩落した。少なくとも車3台が下敷きになり、車両火災も発生した。死者は4人以上、けがは2人。
  • 中日本高速によると、1977年の開通以降、天井部分の大規模な改修工事はしていなかった。老朽化の可能性もあり、県警は業務上過失致死傷容疑で捜査を進める。
  • 同社は、9月の点検で天井板の上に人が入りチェックをし、異常は発見されなかったとする。しかし、ドーム天井と「つり金具」を結合するボルトの「打音検査」はしていなかった。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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