2012.10.28 sun

新聞1面トップ 2012年10月28日【解説】本当の文明開化

新聞1面トップ 2012年10月28日【解説】本当の文明開化


【リグミの解説】

文明国の条件
『真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず村を破らず 人を殺さざるべし』


日本初の公害事件と言われる「足尾銅山鉱毒事件」を告発し、政府に闘いを挑んだ政治家、田中正造の言葉です。戦後の経済発展の結果、日本は子供の数が減り、老人の数が増えました。人口は増え、国は豊かになりましたが、果たして田中が指摘したような文明国になれたのでしょうか。

少子高齢化の現実
「少子高齢化」。課題先進国の日本を象徴する言葉。
少子」と「高齢化」は、セットで語られますが、ちょっと考えればわかるように、この2つのテーマはある意味、正反対です。昔は長生きは珍しく老人の数は限られていましたが、高齢者は、現にたくさん存在し、これから益々増えていきます。かつてたくさんいた子供たちは、その数がどんどん減っています。

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950年の65歳以上の人口は、416万人で人口に占める比率は4.9%でした。30年後の1980年は、2.5倍強増えて大台超えの1065万人で9.1%になりました。さらに30年後の2010年には、再び2.5倍強の増加となり、2874万人で22.5%に達しました(参照:総務省統計局)。

一方、15歳未満
の子供の数は、どういう推移でしょうか。1950年は2979万人で、人口に占める比率は35.4%もありました。それが、30年後の1980年は1割近く減って、2752万人で23.5%になりました。この段階で、3人に1人以上が子供だったのが、5人に1人に。さらに30年後の2010年の子供の数は、3分の2まで減り、1831万人で14.3%になりました(参照:総務省統計局)。

長生きは幸福か
長生きできることは、よろこばしいことです。でも今の日本の老人たちは、かならずしもハッピーではないように見えます。経済
面の不安があったり、病気や怪我に苛まれたり、孤独な境遇になってしまったり。高齢者を支えていくのは、文明社会の義務であり、それをどれだけ上手に達成するかに文明度、先進度が表れます。

課題先進国・日本は、老人の不安をなくし、活き活きと
社会の表舞台で活躍できる社会を実現することを目指すべきです。日経ビジネス2012年9月10日号に「隠居ベーション」という記事で「100歳現役時代」を提唱していました。課題が深刻であればあるほど、こういう「前向きさ」はとても大事だと思います。高齢化の問題は、老人たちが「自立」した存在としてハッピーに生きられることが、目指す姿といえます。

一方の少子化の問題
は、社会の「連帯」がカギになります。今のお母さんたちは、とても孤独だと思います。子供を産むことを躊躇し、やっと決意し、出産しても、子育て環境は存外に大変で、音を上げそうになることの連続です。昔は当然のように存在した大家族の助け合い、共同体の支援が今はありません。

まずは、お父さんたちを職場の拘束から解き、子育てに相当の時間を割けるようにすべき
です。それから、元気な高齢者たちが、いい形で子育て支援に協力できる仕組みを作り、世代間をまたぐ助け合いができないものかと思います。

子供たちのしあわせのために
こんなことをいろいろと考えたのは、今日の東京新聞の1面トップ記事「日本脳炎ワクチン、重い副作用104人」を読んで、日本
は本当に子供たちを大切にしているのだろうか、と疑問になったからです。子供たちが受けると良いとされるワクチンの種類はとても多いです。

「B型肝炎ワクチン」「ロタウイルスワクチン」「ヒブワクチン」「小児用肺炎球菌ワクチン」「四種混合(DPT-IPV)ワクチン

・三種混合(DPT)ワクチン・二種混合(DT)ワクチン」「不活化ポリオワクチン」「BCGワクチン 」「MR(麻しん風しん混合)

ワクチン」「おたふくかぜワクチン」「みずぼうそうワクチン(水痘ワクチン)「日本脳炎ワクチン」「インフルエンザワクチ

ン」「HPVワクチン」「A型肝炎ワクチン」・・・(参照:KNOW・VPD)。

このリストを見て、悩まないお母さんはいないと思います。摂取すべきか否か。そして接種期限やインターバルが異なり、スケジュールをどうするかも悩みの種です。今は国もリスクを回避したいので、接種を推奨したりしなかったり、個別で親に判断させたりしているようです。その親たちは、一所懸命情報交換をし、悩んでいます。病気を広めないために、摂取すべきだと社会的な圧力もあります。しかし、副作用が指摘される中、どこまで接種すべきか。

今月17日に岐阜県美濃市で10歳の男の子が日本脳炎ワクチンを接種後に急死しました。こうした事例を厚生省は1年に1度だけ集計していたため、対応が後手後手に回っていました。本当に子供たちのしあわせにためにワクチンをほどこすのであれば、副作用はなく、まして重度の障害や死亡事例が出ることなど論外のはず。たまたま発生した事例は、運が悪かった。確率は低いのだから全体としては気にしなくていい。これが国の本音でしょうか。

『少しでも人の命に害ありて 少しぐらいはよいと思うなよ』

田中正造のもうひとつの言葉を、文明国・日本は噛みしめる必要があります。


(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「防災情報、携帯に自動配信」

  • 政府は、住民に防災情報を迅速かつ確実に伝達する自動配信システムづくりを進める方針を固めた。現行システムでは、東日本大震災時などに情報伝達で不備が生じた。その反省を踏まえ、多様な伝達手段を準備し、防災情報がなるべく多くの住民に届くようにする。
  • 想定する配信情報は、以下の通り。①全国瞬時警報システム(Jアラート)情報=地震、津波など、②自治体の避難指示・勧告、③河川の氾濫情報、④原発事故による放射線量情報、⑤道路交通情報、⑥大規模災害発生後の避難所情報など―。
  • 伝達方法は、以下の方法を想定している。①特定地域の携帯電話やスマートフォンに一斉送信するサービス、②地域のケーブルテレビ、コミュニティーFMなどへの自動配信―。2013年度から、実施主体となる都道府県や市町村に財政支援をし、体制整備を促す。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「それでも中国に店を」

  • 反日デモから1ヵ月半が経ち、日本の流通業は、営業再開や新規出店に向け動き出している。中国国内の反日感情は根強く、先行きは見通せないが、日本の消費が伸び悩む中、中国に活路を求める決意だ。
  • 反日デモ以降に再開・新規出店する日本企業は、以下の通り。▽ユニクロ=北京などに12店舗新規オープン(9月末)、南京に新店舗(11月3日)、▽イオン=青島でデモ後に初出店(10月25日)、▽平和堂=長沙でデモ被害の2店が営業再開(10月27日)、▽ジャスコ=青島でデモ被害の店舗を再開(11月下旬)、▽高島屋=上海に初の百貨店をオープン(12月)、▽ダイソー=上海に進出・初店舗(年内めど)―。
  • 各社は、消費が旺盛な海外の新興市場に活路を求めており、苦戦覚悟で出店を続ける。イオンの岡田元也社長は、日中の対立は今後も起きることを想定した上で、「絶対にここでやっていくという気持ちを現地社員と共有したい」と語る。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「23都道府県、予定外の借金」

  • 特例公債法案が年度の半分を過ぎても成立していないため、今年度予算の赤字国債が発行されず、47都道府県の財政運営に影響が出ている。政府が、9月分の地方交付税の支給を遅らせた影響で、少なくとも23都道府県が金融機関から予定外の借入を行っている。金利負担は、判明分だけで3000万円を超える。
  • 金融機関からの借入による金利負担は、以下の通り。▽北海道=1400万円、▽秋田=100万円、▽茨城=51万円、▽群馬=135万円、▽千葉=200万円、▽富山=数十万円、▽山梨=30万円、▽大阪=130万円、▽山口=350万円、▽徳島=183万円、▽香川=31万円、▽福岡=90万円、▽佐賀=156万円、▽長崎=50万円、▽宮崎=120万円―。
  • 政府が戦後初の予算執行抑制に踏み切った9月以降、道府県分の地方交付金は分割払いしている。一時借入はその穴埋めのためのもので、事業資金ショートを回避するため、短期借入を繰り返すケースが多い。11月以降も交付税の支給が遅れれば、地方の負担はさらに膨らむ。金利負担は国が全額補填する方針のため、特例公債法案成立の遅れによる支出は、国民の負担となる。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「JXエネ、室蘭製油所停止」

  • 政府は、原油を処理する精製能力の実質的な削減を求めている。石油製品国内需要が低迷し、アジア企業との競争激化もあり、業界の経営環境が厳しいためだ。石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーが、大型設備の廃棄に踏み切る。
  • 石油元売り大手の石油精製能力の削減の動きは、以下の通り。▽JXエネ=室蘭製油所の石油精製を停止(2014年3月までに実施)、約13%の精製能力(日量18万バレル)を削減、▽出光=徳山製油所の石油精製を停止(2014年3月に実施)、約19%の精製能力(日量12万バレル)を削減、▽コスモ=坂出製油所を閉鎖(2013年7月に実施)、約22%の精製能力(日量14万バレル)を削減、▽昭和シェル=扇町工場を閉鎖(2011年9月実施)、約23%(日量12万バレル)を削減―。
  • 国内の販売シェアが35%の最大手のJXエネが停止することで、3社合計で日本全体の精製能力の約1割(日量44万バレル)が削減されることになる。政府は、「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、2013年度末までに石油会社に実質的な精製能力の削減を義務付けている。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「日本脳炎ワクチン、重い副作用104人」

  • 現行の日本脳炎ワクチン接種が始まった2009年6月から今年6月までに、104人が接種後にけいれんや脳炎など重い副作用を起こしていた。医療機関情報を基に製薬企業が報告したもので、厚生労働省などへの取材で判明した。
  • 104人の内訳は、以下の通り。▽10歳未満=91人、▽10代=12人、▽20代=1人―。症状は延べ198件で、内訳は以下の通り。◇発熱=41件、◇熱性けいれん=15件、◇けいれん=15件、◇嘔吐=12件、◇急性散在性脳脊髄炎=10件、◇過剰なアレルギー反応=5件、など―。回復していなかったり重い後遺症がある患者が、少なくとも8人いる。
  • 日本脳炎ワクチンの定期接種では、2004年に女子中学生が急性散在性脳脊髄炎にかかった。厚労省は「接種との因果関係が否定できない」として、翌年に「積極的な勧奨」を控えた。2009年6月からは、副作用が少ないとされる乾燥ワクチンが使用されている。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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