2012.10.24 wed

新聞1面トップ 2012年10月24日【解説】新しい「安全神話」へ

新聞1面トップ 2012年10月24日【解説】新しい「安全神話」へ


【リグミの解説】

活断層の再定義
本日の毎日新聞と東京新聞の1面トップは、「原発の活断層定義の見直し」についての記事です。活断層の定義は、以前は「5万
年前以降に動いた可能性があるもの」でしたが、現在は「13万~12万年前」以降に定義変更されています。原子力規制委員会は、ここからさらに「40万年以前」まで遡る新定義を検討しています。

関西電力大飯原発の再稼働判断の最中、直下に活断層があるという専門家の指摘が報道されました。しかし、十分な検討や検証もないまま、再稼働が正式決定され、今日に至っています。原子力規制委は、電力会社任せにせず、大飯原発については独自調査に着手する予定です。新組織は、原発の安全性に関する定義を見直し、安全の検証に自らも入り込もうとする姿勢を示していることは、福島第1原発事故という大災害を経験した日本が、ようやく新しい方向に動き出した証ともいえ、評価できます。

安全基準の限界はどこか
その一方で、安全基準はどこまで厳格にすれば良いのか、さらにその基準を満たしていると本当に言えるか、活断層を漏れなく
発見できるのか、心配もあります。日本学術学会は、9月11日に発表した「高レベル放射性廃棄物の地下処分」に関する報告書で、次のように警告しています。
 

「日本は火山活動が活発な地域であるとともに、活断層の存在など地層の安定性には不安要素がある。さらに、万単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界があることを明確に自覚する必要がある。その自覚を踏まえた上で、説得力のある方策を探すべきである。」(引用:日本学術会議『高レベル放射性廃棄物の処分について』P5)
 

昨日の「リグミの解説」で、フィンランドの核廃棄物の最終処分場「オンカロ」についてのドキュメンタリー映画『100,000万年後の安全』に触れました。核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)を地下処分することを決定するプロセスで、フィンランドの責任者たちが、10万年の間に何が起きるか、真剣に議論しました。結論は、何が起きるかわからない、というものでした。

あらゆることを想定することは不可能です。少なくとも、地震国でないフィンランドで、10万年間岩盤が安定し、地下水が突然地上に吹き出すといったことが起きない、と想定できる場所を選定しました。しかし、当事者意識を持ち、用意周到に検討を重ねて意思決定をしたフィンランドですら、本当はどこまでの確証があるのか。映画を観ていて、人間の科学的知見と英知の限界を超えた先に、10万年単位の地球の変動があるように思えました。

新しい「安全神話」へ
40万年前まで遡って地層を解析し、安全性を確認することは、是非やってもらいたいと思います。その上で、私たち日本人が真
剣に考えるべきことは、54機もの原発が、日本列島にあるという現実をどう判断するかです。

世界の原発立地国で、このような
環境は日本だけだと言われます。日本の国土は世界のたった0.25%ですが、マグニチュード6以上の地震の20.5%が日本で起きています(参照:地震情報サイトJIS)。単純計算で、世界平均の80倍以上の確率で大地震が起きている国が、世界で3番目の原発大国だという現実。まさに「神話レベル」の安全への確信がなければ、とてもここまでの原発立地はできなかったと思います。

逆説的な言い方になりますが、今こそ本当の「安全神話」を創造する時ではないでしょうか。40万年前のことや、10万年後のことを、人類は正確に知ることはできません。それでも科学の進歩を信じ、そのときどきの最高の英知を結集して、仮説をを立て、検証していく。新しい発見があれば、勇気をもって仮説を変更し、安全基準も更新をする。そして、今できることをしっかりやっている、ということを国も、専門家も、電力会社も、リアルタイムで徹底して開示し説明をする。国民はそれを当事者として確認し、納得共有する。

「神話」とは本来、「今ここ」で常に刷新され続ける物語です。そのことで、最も多くの人々が共有し続けられる物語となります。物語は、それを生きるものです。新しい原子力政策は、過去の基準や、既得権益に固執せず、科学がもたらす新しい発見に開かれたものとして、日本人全員が共有できるものとなるべきです。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「東大、9月始業検討」

  • 東京大学は、現行の春入学を維持したまま、正規の授業を秋から始める学期スケジュールを検討している。学内にある秋入学移行への反対論に配慮した。秋までの半年近くは、新入生向けの導入教育を行う。卒業は、従来通りの3月となる。
  • 東大の浜田学長は、海外の大学で一般的な秋入学を導入することで、留学生の受け入れ・送り出しを活発化させる「秋入学構想」を推進している。春の合格発表から秋入学までの約半年間を「ギャップターム(空白期間)」と呼び、短期留学や就業体験などに充ててもらう。
  • 春に合格した学生の「学習権を侵害する」などの批判が学内から噴出したこと、医師国家試験や法科大学院入試時期との整合性の問題があることなどから、春入学を維持した新たな案が策定された。東大幹部の1人は、「実質的な秋入学と言える内容だ。将来的に秋入学全面移行を目指す方針は変わらない」と話す。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「地震保険料、最大30%上げ」

  • 政府と損害保険各社は、家庭向け地震保険の保険料を15~30%の範囲で値上げする方針を固めた。東日本大震災における保険金の支払いが巨額となり、次の巨大地震が起きた時に支払う保険金の財源が足りないため。家庭向け地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営する公的な保険。
  • 東日本大震災前は、2.3兆円の保険料が準備金としてプールされていた。震災後はそれが1.3兆円に減少した。今、首都直下型地震が起きると、保険料支払いは最大3.1兆円となり、1.8兆円不足する。不足分は税金で穴埋めされる。南海トラフ地震が起きると、不足分は3.1兆円あるいはそれ以上まで拡大する。
  • 地震保険は、地震や津波で壊れた家屋や家財を補償する保険。火災保険とセットで入る。火災保険の3~5割の範囲でしか入れない。東京都の耐火性家屋で保険料1千万円の地震保険に入っている場合、仮に15%値上げされると、保険料は現行の年約1万7千円から約2万円に上がる。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「活断層定義拡大を検討」

  • 原子力規制委員会は23日、原発の安全審査で考慮する活断層の定義拡大を検討する方針を固めた。従来は、断層の活動時期が13万~12万年前(後期更新世)より最近のものを「活断層」と定義してきたが、より古い時代まで含むことを検討する。
  • 活断層は、数十万年前以降に繰り返し動いた痕跡があり、今後も動く可能性がある断層。以前は、5万年前以降に動いた可能性があるものを活断層としてきたが、鳥取県西部地震を機に、13万~12万年前以降に定義変更された。原子炉など原発の重要施設は、活断層の上に設置できない。
  • 規制委は、24日の定例会で活断層の定義や認定方法を含めた地震や津波に関する基準見直しを開始する。来年7月までに策定する原発の新たな安全基準に盛り込む方針だ。すべての原発の適用されるため、新基準に適合しなければ稼働できなくなる。今後、全原発で活断層の再点検を迫られる可能性がある。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「日産、タイ生産を倍増」

  • 日産自動車は、タイに年産能力20万台規模の完成車工場を新設する。約300億円を投資し、2014年にバンコク郊外のサムットプラカーン県に建てる。生産するのは、タイと周辺国で需要の大きい1トンピックアップトラックと乗用車。
  • 日本の自動車メーカーの東南アジア拡充策は、以下の通り。▽日産自動車=タイに新工場、合計年産能力40万台に増強、▽トヨタ自動車=タイでディーゼルエンジンの生産能力を2015年に2倍に増強、▽ホンダ=インドネシアの生産能力を約3倍の20万台に増強、▽三菱自動車=タイで2013年に生産能力を約2倍の50万台に増強―。
  • 東南アジアの新車市場(6ヵ国合計)は、中国市場の約7分の1だが、日本車のシェアは9割以上あり、部品産業の裾野も広い。ASEAN(東南アジア諸国連合)がFTA(自由貿易協定)を結んでいる国・地域も多く、輸出しやすい。日本との関係悪化している中国市場への依存度を下げる動きが本格化しそうだ。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「活断層の定義、大幅厳格化」

  • 原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理(地震分野担当)は、原発に適用される「活断層」の定義を大幅に厳格化する考えを示した。現行の原発耐震設計指針は、断層の活動時期が13万~12万年前より最近のものを「活断層」と定義してきたが、40万年以降まで遡って動きがないことを求める。
  • 規制委は、直下や直近に活断層があると指摘される関西電力大飯原発や北陸原発志賀原発を自ら調査する予定。指針改正をまたず、40万年以降に断層が動いたかどうかを重視して調べる。動いたことが確認され、活断層と判断されれば、規制委は運転停止を命じる見通しだ。
  • 島崎氏は、「従来の指針類は尊重するが、金科玉条ではない」と語る。国の地震調査研究推進本部は、2010年11月、40万年を目安に活断層を長期評価する報告書を出している。規制委もこの方針に足並みを揃える。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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