2012.10.02 tue

新聞1面トップ 2012年10月2日【解説】いじめは社会の投影

新聞1面トップ 2012年10月2日【解説】いじめは社会の投影


【リグミの解説】

いじめ緊急調査
本日の毎日新聞の1面トップ記事は、文部科学省による「いじめ緊急調査」についてです。文科省は、小中高と特別支援学校を対
象に毎年「問題行動調査」を実施し、いじめの認知件数を調べています。2011年度は、7万231件のいじめが報告されました。

現在の学校数は、小学校21,460、中学校10,699、高校5,022、特別支援学校1,059で、合計38,240校になります(参照:政府統計)。ものすごく単純化した計算ですが、昨年度に認知されたいじめは、1校あたり2件だったことになります。これ、多いと思いますか、少ないと思いますか?

年間7万件と聞くと大変大きな数と感じますが、長い年月に渡っていじめが問題視されてきたことを考えると、1校あたり2件という内容は、氷山の一角だという気がします。大津市立中学における「いじめ自殺」が社会問題化した今年度は、いじめの認知数が半年で7万件を超えたわけですから、1校あたり年間換算で4件と倍増したことになります。これで実態に近づいたのでしょうか。

いじめの発生率
小学校の生徒数は約699万人、中学校が356万人、高校で336万人で、合計1391万人です。これも単純計算ですが、総生徒数に占め
るいじめ認知率は、2011年度で0.5%、2012年度半期のペースだと1.0%になります。今や生徒の100人に1人がいじめの対象になっているとすると、現在認知されているだけでも、相当の頻度と言わなければなりません。文科省は、今年度半年のいじめ認知数のうち、「重大ないじめ」は250件あったと言います。これはいじめ認知数の0.3%(300件に1件)です。

労働災害における経験則のひとつであるハインリッヒの法則では、「1件の重大事故・災害」の背後に「30件の軽微な事故・災害」があり、さらにその背後に「300件のヒヤリ・ハット」があると言います(ヒヤリ・ハット=重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例:Wikipedia)。この法則に当てはめれば、「重大ないじめ」の0.3%(300件に1回)は、ちょうど当てはなる比率になります。

ヒヤリ・ハット
元より事故・災害といじめはまったく違う事象ですが、意図せざるところで過激化する要素を秘めているいじめは、ある意味で
事故や災害にも比することができるかもしれません。いじめはあってはならないもの、という前提を置く道義的な立場だけでは限界があると思います。事故・災害は起きるもので、どうやって予防し減災するかを考える方が現実的な段階に来ているかもしれません。

そういう意味で、文科省の統計の「いじめの認知数」は、ハインリッヒの法則の「300件のヒヤリ・ハット」ではなく、むしろ「30件の軽微な事故・災害」に近いと想定することもできます。仮にそうだとすると、「重大ないじめ」は発生率0.3%の250件ではなく、3%の2500件ということになります。年間なら5000件という計算になります。この想定でいくと、調査で認知された「いじめ」の7万5千件(半年)はまさに氷山の一角で、実態は10倍の75万件、年間で150万件になります。

日本の刑法犯認知件数は、約20万件(2012年2月現在)ですので、成人人口で考えると、刑法犯認知率は約0.2%になります。ハインリッヒの法則から勝手に推測した「重大ないじめ」の潜在数2500件は、小中高の生徒数1391万人の0.02%です。今や警察が関与しなければならない事象になっている「重大ないじめ」の実態を考えると、2500件でもまだ少ないかもしれません。

子供のいじめは大人社会の投影
子供たちのいじめが大人の刑法犯罪に比する状況になっている、と推測するのは行き過ぎかもしれません。しかしひとつだけ言えるのは、いじめは大人社会の
投影だということです。子供たちだけが特殊な社会に閉じ込められているわけではありません。仕事の現場でもハラスメントという名のいじめが社会問題になっています。

子供たちのいじめをなくす方策として、閉じた学級制度を開放すべき、という議論があります。同質なもの同士で閉じた社会は、同調圧力を高め、少しでも異質なものを排除しようとします。開かれた社会は、多様なものを受け入れ、連動していこうとします。

子供たちを本当に守り、豊かな心を持った人間として育てたいなら、まず大人が範を垂れる必要があります。異質なものを受け入れ、多様性の価値を積極的に認め、そうした開かれた社会の中で自己の潜在的な可能性を開花させていく。そういう価値観と行動規範をもった大人がたくさんいれば、小さな社会に閉じこもり、いじめ合う子供たちを開かれた社会に招き入れることができるはずです。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「『特例公債』成立に全力」

  • 1日に第3次野田内閣が正式発足したことを受け、野田首相は特例公債法案などの早期成立に全力を挙げる意向を表明した。
  • 首相が表明した当面の課題は以下の通り。①赤字国債発行のための特例公債法案の成立、②社会保障制度改革国民会議の早期設置、③衆院選の「1票の格差」是正と定数削減を含む衆院選挙制度改革。
  • 野田首相は、自民党、公明党に党首会談の開催を申し入れたいとするが、自公が求める衆院解散時期の明示には会談で応じない考えだ。自公両党の協力が得られる見通しは立っておらず、10月中にも召集される臨時国会は、多難が予想される。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「政権、見えぬ機能強化」

  • 1日に正式発足した第3次野田内閣について、野田首相は内閣改造の目的を「機能強化」と説明した。だが実際は、衆院の過半数割れを回避するための内向き人事であり、山積する課題を前に、機能強化の実態は見えてこない。
  • エネルギー政策では、「2030年代原発ゼロ」と、原発再稼働や「核燃料サイクル政策」の継続、という矛盾は続くとみられる。枝野氏と共に、「原発ゼロ」を革新的エネルギー・環境戦略に明記させた古川国家戦略相は、内閣を離れた。毎週のように福島に通い、地元の信頼を築いてきた細野環境相兼原発相を引き継ぐ長浜氏は、信頼関係づくりを一から始める。
  • 新エネルギー政策以外にも、特例公債法案などの重要法案を処理し、社会保障制度の改革を推進する上で、早期解散を求める自民党との接点は容易に見いだせていない。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「重大ないじめ250件」
 

  • 今年4月以降の半年間に「子供の生命や身体を脅かす恐れのある重大ないじめ」が、文部科学省に約250件報告された。同省が全国の小中高を対象に実施ている「いじめ緊急調査」で明らかになった。「重大ないじめ」には、けがをさせられたり、金銭を要求されたりするケースが含まれるという。
  • 文科省は、この250件について、省内に設けた「子ども安全対策支援室」で、学校や教育委員会の対応を確認し、省としての支援の必要性を調査している。同省が「重大ないじめ」を分けて調査するのは初めて。10月中にも結果を公表する予定だ。
  • この半年間に認知したいじめは約7万5千件に上り、既に昨年度1年間の認知件数7万231件を大幅に上回る。「子供たち自身がいじめを解決していく手立てを周囲の大人たちが考えていく時期だ」と兵庫県立大学の竹内和雄准教授(生徒指導論)は指摘する。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「解散巡り攻防再び」

  • 1日に第3次野田内閣が正式発足した。過去2度の改造は、問責決議を受けた閣僚を交代させる受け身の人事だったが、今回は野田首相が代表選で再選されたことを受けた本格的な改造であり、挙党体制で政権浮揚を目指すものとなっている。
  • 野田首相は、差し迫った課題として赤字国債発行法案などの処理を挙げる。参院で与党が過半数割れをする中、自民、公明両党の協力が欠かせないが、衆院解散時期を巡り攻防が予想される。
  • 自民党の安倍総裁は、「近いうちに解散」の約束を確認したいとするが、野田首相は解散時期の確約に慎重姿勢を崩していない。このため、臨時国会の召集がずれ込み、重要法案の処理が遅れる懸念もある。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「安全軽視、見切り配備」

  • 米軍の新型輸送機MV22オスプレイが1日、沖縄の普天間基地に配備された。肝心の安全面は、米政府の事故報告を日本政府が追認しただけの「安全宣言」だ。安全策の多くには「可能な限り」などの但し書きついており、「配備ありき」の姿勢となっている。
  • 米軍がオスプレイ配備を進める背景には、人民解放軍の予算を急増させ、装備の近代化を着実に進める中国に対して、アジア太平洋地域の抑止力強化を急ぐ米国の戦略がある。
  • 地元の強い反対にもかかわらず、日本政府は日米同盟を重視し、なし崩しでオスプレイ配備を認めてきた。米軍基地の地元を刺激し続けることの影響を懸念する声が、日米双方から出ている。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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