2012.09.22 sat

新聞1面トップ 2012年9月22日

新聞1面トップ 2012年9月22日


【リグミの解説】
 
「笑顔が広がる国」
「それはきれいごとだ」。解決が簡単にできない難しい問題を話し合っていると、ある種の解決案に対してかならず出てくるのが「綺麗事」という批判です。「物事の実態はそのままで、表面だけをとりつくろうこと」(広辞苑)という意味で使われます。
 
民主党の代表選で野田首相が再選されました。1回目の投票で3分の2近いポイントを獲得する圧勝でした。本日の読売、朝日、毎日がそろって1面トップで報道しています。
 
「目指しているのは子どもの笑顔が広がる国、お父さんお母さんの笑顔が広がる国、おじいちゃんおばあちゃんの笑顔が広がる国、そういう国を皆さんといっしょにつくりたいと思う」。野田首相は、再選を果たしたあとの演説をこう締めくくりました。この言葉に共感した人、また「綺麗事」を言っていると批判的にとらえた人。それぞれであったと思います。
 
「綺麗事」を言う政治家
「綺麗事がいえなければ政治家にはなれない」。長年保守系の衆議院議員を務めた方の言葉です。これ広辞苑の意味でとらえれば、当然否定的な意味になります。しかし、政治家が綺麗事を言わなくなったら、どうなるでしょうか。
 
経済のパイが拡大していた時代には、政治は利益配分の調整をしていれば、そこそこ支持を得られました。しかし、パイが増えず、むしろ減る時代は、「綺麗事」が空疎に響きます。とはいえ、「厳しい現実を直視せよ」「国民には今以上に負担をお願いする」「公助はこれから減る」とだけ言うのであれば、リストラしか策のない経営者と変わりません。
 
政治家が語るべき3つのこと
今、政治家が語るべきことは、3つあります。第1は、「厳しい現実を直視せよ」です。国家のリアリティを正しく認識し国民と共有する姿勢です。第2が、「これが私のビジョンであり、目指す国の姿だ」という夢、理念、価値観の表明です。そして第3に、ビジョンを具体化する「行程表(ロードマップ)」を明らかにする必要があります。
 
「綺麗事」が批判されるのは、現実が「汚れ事」になっているからであって、「綺麗事」として語られる理想や夢の価値そのものを否定する人はいません。世の中が汚れていればいるほど、理想となる綺麗な状態がまぶしく輝き、思わず目を伏せてしまっているのです。
 
ある種の宗教家が大衆の心を惹きつける理由は、苦しみの現実に寄り添い(1. 現実直視)、天国や涅槃や悟りという理想郷を語り(2. ビジョンの提示)、そこへ至る具体的な救済の道を示すからです(3. ロードマップの具体化)。
 
日本の100年後の姿
では政治家が、辞書に書かれた「綺麗事」の意味に留まらず、国民が真に必要とする「ビジョンとして綺麗事」を打ち出すには、どうしたらよいでしょうか。宗教家のように信仰の対象を打ち出し、熱狂的な信者を作ることではないことは、当然です。
 
答は、遠回りでも「国家100年の計」を具体化することにあると思います。冷静に客観的に現実を分析し、高邁な理想に向けて大きなプランをつくり、冷静な頭と熱い心の両方で検証し、創意工夫していけるプランを国民と共有し、合意すること。「国家100年の計」は、私たちの子供たちや孫たちにバトンタッチする「笑顔が広がる国」の具体像です。
 
(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事】 野田首相が代表再選

  • 民主党は21日、臨時党大会を開き、代表選を行った。野田首相が大差で再選された。
  • 国会議員、国政選公認内定者、地方議員、党員・サポーターによる投票をポイント換算した結果は以下の通り。野田氏818ポイント、原口氏154ポイント、赤松氏123ポイント、鹿野氏113ポイント。
  • 野田首相は、内閣改造・党役員人事を行う方針。輿石幹事長に続投を要請した。輿石氏は回答を留保。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 野田首相、大差で再選

  • 民主党は21日、臨時党大会で代表選を行い、野田首相が再選された。
  • 野田首相は、国会議員の6割超の票を含め、地方議員と党員・サポーターと合わせて818ポイント(66%)を確保、1回目の投票で圧勝した。
  • 首相は、輿石幹事長に続投を要請した。輿石氏は即答を避けたが、最終的に受諾するものとみられる。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 野田首相、大差で再選

  • 民主党は21日、臨時党大会で代表選を行い、野田首相が大差で再選された。
  • 国会議員、国政選公認内定者、地方議員、党員・サポーターによる投票をポイント換算した結果は以下の通り。野田氏818ポイント、原口氏154ポイント、赤松氏123ポイント、鹿野氏113ポイント。
  • 首相は、輿石幹事長に続投を要請。輿石氏は即答を避けたが、再会談する方向であり、輿石氏の留任が固まった。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 ルネサス、官民で買収

  • 業績不振の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスに、日本の製造業を代表する企業が、政府系ファンドと組み、1000億円超を共同出資する方向だ。既に交渉中の米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)への対抗案を作る。
  • 主な出資企業は以下の通り。トヨタ自動車、パナソニック、日産自動車、ホンダ、キャノン、ファナック。他に、自動車部品メーカーのデンソー(トヨタ系)、ケーヒン(ホンダ系)、世界大手の独ボッシュにも出資を要請。
  • ルネサスは自動車用や家電用のマイコンで世界首位。マイコンは、モーターなどの動きをきめ細かく制御する頭脳の役割を担う。産業機械の基幹部品の安定調達を確保するため、官民を挙げて、異例の支援体制を組む。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 原発ゼロの閣議決定回避、米が要求

  • 「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す戦略の閣議決定を判断する直前に、米政府側が閣議決定を見送るよう要求していた。政府内部への取材で判明した。
  • 米側は、「法律にしたり、閣議決定して政策をしばり、見直せなくなることを懸念する」とし、日本が原発稼働ゼロの方針を変える余地を残すよう要求していた。
  • 政府関係者は、「米側は日本が原発や核燃料サイクルから撤退し、安全保障上の協力関係が薄れることを恐れ、閣議決定の回避を要請したのではないか」と指摘する。「原発ゼロ」を求める多数の国民の声を無視し、結果的に米国の圧力に屈していた実態が明らかになった。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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