2012.08.15 wed

新聞1面トップ 2012年8月15日

新聞1面トップ 2012年8月15日


【リグミの解説】 本日の新聞トップは、「日朝協議」(読売)、「橋下新党」(朝日、毎日)、「ソニーの販売減」(日経)、そして「沖縄の怒り」(東京)です。
 

読売新聞へのコメント

  • 韓国の李大統領は、竹島訪問後、さらに「天皇謝罪」を求める発言をし、波紋を広げています。一国のリーダーには、国内を統べるための人気や基盤とともに、国際社会に向けて国を代表する人物としての品格や知性、器の大きさも求められます。さらに日韓関係を悪化させかねない発言をするのは、どういう意図なのか、理解に苦しみます。
  • そんな中、日朝の政府間協議が4年ぶりに再開されます。このこと自体はかねて望まれたことであり、拉致問題を中心に両国間の懸案を今度こそ着実に解決する機会としたいです。ただ北朝鮮には、日韓両国の良好な関係を分断したい、という隠れた意図もあるはず。
  • 日本の為政者は、韓国政府に対しても北朝鮮政府に対しても、毅然とした外交姿勢と、挑発的な言動に乗らない品格ある態度と、懐の深さをもった交渉戦略をもって臨んでほしいと思います。


朝日新聞、毎日新聞へのコメント

  • 野田首相が「近いうちに国民の信を問う」と発言し、消費増税関連法案が成立したことをきっかけに、政局は一気に衆院解散・総選挙に向けた動きを加速しています。その中の台風の眼が、橋本徹大阪市長が率いる大阪維新の会です。
  • 「キャスティング・ボートを握る」という表現があります。意味は「議会において法案の賛成と反対が同数の場合、議長の職権で可否を決めることをさす。転じて2大勢力が拮抗しいずれも過半数を制することができない場合、第三の勢力が事実上の決定権を行使できる立場」(Wikipedia)。みんなの党ができたとき、キャスティングボートを握りかけましたが、世論調査を見る限り、伸び悩んでいます(NHK)。
  • 維新の会が国政レベルの政党と大きく異なる特徴は、地方行政で実績を積みながら国政へ打って出ようとしていることです。「地方からの改革」を、単なる理念ではなく、実践を通して政治の在り方と、行政の改革の方向性を、具体的な形で示しています。橋下さんのパフォーマンスによってイメージがインフレしている面はありますが、「なんでも反対の野党ではない」という点は、新鮮な「違い」になっています。維新の会が本当にキャスティングボートを握れる第3局になれるかどうか。着眼点は、「何を言っているか」以上に、「何をやっているか」です。
     
東京新聞へのコメント
  • アテネオリンピックの開催時期に、沖縄国際大学に米軍のヘリが墜落しました。そのとき、新聞の扱いは小さかったことを、東京新聞の記事は伝えています。
  • 今、米軍のオスプレイの沖縄配備問題で揺れています。その最中、米軍厚木航空基地所属の二等兵層が日本人女性を強姦する事件が起きました。神奈川県警による家宅捜査も行われましたが、「オスプレイ配備問題もあり米軍関連で波風が立つのは好ましくない」という司法当局の判断により、米兵の逮捕も見送られているようです(参照:東京新聞2012年8月12日朝刊27面の記事)。そのせいか、新聞もテレビも、この事件のことを殆ど報道していません。
  • アテネオリンピックから12年。ロンドン大会で盛り上がった日本ですが、その陰で米軍基地問題の深刻さを再認識する事件が起きていました。メディアの在り方を考えさせられる記事です。


今日は終戦記念日です。韓国とのこと、北朝鮮とのこと、そして沖縄のこと。今日の新聞1面トップ記事は、70年前の戦争の記憶と直結しています。リグミはここ数日、「日本の国家100年の計」を立てる時だ、という趣旨のコメントをしています。「国家100年の計」という未来像は、「過去100年の歴史の棚卸し」という過去像の上に立脚するものです。自分たちにとっては「過去のこと」でも、他者にとっては「現在の問題」であることを、どう整理したらいいのか。暑い夏がめぐるたびに、突きつけられるテーマです。


讀賣新聞

【記事】 日朝協議29日再開

  • 政府は14日、北朝鮮との政府間協議を北京で行うと発表した。日朝政府間協議は、2008年8月以来、4年ぶりの再開となる。29日は予備協議と位置付けられ、外務省の杉山アジア大洋州局長を派遣する。
  • 藤村官房長官は、「日朝間の諸懸案について議論する。拉致問題は当然含まれる」と強調した。「諸懸案」には、拉致問題の他、終戦前後に北朝鮮で死亡し埋葬された日本人の遺骨返還、北朝鮮に渡った在日朝鮮人の日本人妻の帰国問題、日航機「よど号」ハイジャック犯の日本送還が対象となる。
  • 玄葉外相は記者団に「拉致問題に確固たる姿勢で対応したい。拉致問題は最重要の問題だ」と語った。日朝両政府は、2008年8月の公式実務者協議で、拉致被害者の再調査を同年秋までに行うことで合意したが、その直後に北朝鮮側が調査委設置を一方的に見送り、協議が中断してきた。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 橋下新党、旗揚げへ

  • 大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は、今国会中の衆院解散も念頭に、国政進出に向けて新党を立ち上げる意向を固めた。既に与野党の約20人の国会議員から参加の打診がある。
  • 橋下氏は、自らの立候補は否定しているが、保守を基軸とする政界再編を目指している。自民党の安倍晋三元首相らに中核議員としての参加を要請しているが、安倍氏は9月の党総裁選への擁立論もあり、連携について結論は出していない。「道州制型統治機構研究会」の会合を開催した民主党の松野元官房副長官は、離党も視野に入れていることを明らかにした。
  • 橋下新党は、早ければ8月中に設立準備を本格化させ、全国に候補者を擁立する構えだ。維新の会が実際に次期衆院選に臨めば、民主党、自民党の2大政党に対抗する第3勢力になるとみられているため、政党要件(①所属する国会議員が5人以上、②直近の国政選挙での得票率が2%以上―のいずれか)を満たした場合、政界の流動化が加速しそうだ。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 衆参9人、維新合流検討

  • 民主党、自民党、みんなの党と、衆院会派「改革無所属の会」に所属する衆参の国会議員計9人が、9月上旬にも「大阪維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)との合流を検討していることが14日分かった。
  • 維新合流を検討しているのは、民主党の松野頼久、石関貴史、自民党の松浪健太の3衆院議員と、衆院鞍替えを目指すみんなの党の小熊慎司、上野宏史の両氏。衆院会派「改革無所属の会」からは、木内孝胤、中島政希、横粂勝仁、中津川博郷の4氏となる。
  • 9人が合流すれば、維新の会は所属議員が5人以上必要な「政党要件」を見たし、次期衆院選で小選挙区と比例代表の両方に立候補する「重複立候補」が可能となる。一方、維新の会側は、幹部への接触を図る国会議員が相次いでいるため、「中途半端な議員はいらない」と強気の姿勢。合流希望の国会議員を政策の一致や資質で選別する意向を示している。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 ソニー、TV販売2割減

  • 電機や精密機器メーカーがデジタル製品の2013年3月期の販売計画を下方修正している。
  • ソニーは、液晶テレビの販売計画を期初の1750万台(前年比▲11%)から1550万台(同▲21%)、コンパクトデジタルカメラは期初計画2100万台(同0%)から1800万台(同▲14%)の下方修正した。同時に、シャープが液晶テレビを期初計画1000万台(前年比▲19%)から800万台(同▲35%)、キャノンがコンパクトデジタルカメラを期初計画2200万台(同+18%)から2100万台(同+12%)にそれぞれ下方修正した。
  • ソニーは、液晶TV、コンパクトデジカメ以外にも、パソコン、携帯型ゲーム機、ブルーレイ・ディスク再生機・録画再生機の販売計画を下方修正している。販売低迷は、長引く内需低迷や欧州債務危機の影響と、スマートフォン(高機能携帯電話)に需要を奪われたことによる。新市場を生み出す差異性のある「強い製品」づくりを急ぐ必要がある。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 笑いで届け、沖縄の怒り

  • 広大な米軍基地がある沖縄は、今も戦場とつながっている。ベトナムへ、イラクへ、米兵を供給し続けてきた島は、事故が続発する輸送機オスプレイの半日に猛然と反発している最中だ。沖縄で生まれ育ったお笑い芸人の小波津(こはつ)正光さんは、基地と隣り合わせのウチナーンチュ(沖縄の人)の日常にツッコミを入れ、笑いに変える。本土に届かない深い怒りを伝えるために。
  • 小波津さんのお笑いの舞台が生まれるきっかけとなったのが、2004年8月13日の沖縄国際大学への米軍ヘリの墜落事故だ。新聞1面には、同じ日に開幕したアテネオリンピックの大きな記事が掲載され、ヘリの事故は小さな扱いだった。「アテネでは聖火が燃え上がったころ、沖縄ではヘリが燃え上がったばーよ」。事故2日後のライブに観客は爆笑したが、小波津さんは「ギャグ半分、怒り半分だった。意味が分かってんのかよと思った」と振り返る。
  • 沖縄生まれの身には、戦闘機の爆音も、米兵が事故を起こしても基地の中に逃げればおとがめ無しの不条理も「当たり前」と受け止められてきた。しかし東京に来てお笑いの芸人の活動をするようになって、危険を日常として飲み込んできた沖縄も、危険が他人事の本土も、どちらもおかしい、と気付いた。小波津さんは自問しながら、「笑い」を通して沖縄の怒りを表現する活動に希望を見出そうとしている。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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