2012.08.10 fri

新聞1面トップ 2012年8月10日

新聞1面トップ 2012年8月10日


【リグミの解説】 本日の1面トップ記事は、読売、朝日、毎日が、タイトルもそろって「韓国大統領きょう竹島へ」という記事です。副タイトルも「日本、中止を求める」というほぼ同一のものです。このことから、情報源が同一で、記事の意図も共通であることをうかがわせます。

3紙とも、李大統領が来年2月の任期切れを控えた政権末期のレームダック(死に体)状態の中、「光復節」(8月15日)を前に求心力と支持率の回復を図りたい意図がある、と解説しています。背景には、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題での国内世論の硬化があるようです。

外交における領土問題は、基本中の基本です。国境があるから外交が存在する、とすら言えます。その領土問題は日本の場合、3つの「島」に存在します。ロシアが実効支配している北方領土(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)、日本が実効支配し中国が領有を主張している尖閣諸島、そして韓国が実効支配し日本が領土を主張している竹島です。

ここにきて、3つの領土のすべてで外交を揺るがす動きが出ています。7月初旬には、ロシアのメドベージェフ首相が国後島を訪問し、「一寸たりとも領土は渡さない」と地元住民に断言したと伝えられます(msn)。一方の尖閣諸島は、石原都知事が公言した東京都による買い上げ案について、民主党政権が国による買い上げに言及しました。そして今回の竹島への韓国大統領の訪問計画です。

領土問題の難しさは、外交が「ハードパワー」(軍事力を背景とした政治的・経済的な影響力)の直接的なつばぜり合いの場になることです。サッチャー政権時代のフォークランド紛争(フォークランド諸島をめぐる英国とアルゼンチンの武力衝突)は、まさにハードパワーの直接衝突でした。この時は英国が圧勝し、英国から遠く離れた領土を一層確たるものにしました。このように、領土の実効支配がカギを握る、というのが外交のリアリズムとなっています。

しかし、そうした冷厳な現実に対して、21世紀の東アジアに新しい風を起こすことはできないのでしょうか。外交は「ハードパワー」だけでは能力を発揮できません。「ソフトパワー」との融合が欠かせません。ソフトパワーは、一国の「文化、歴史、社会や産業の魅力」と考えられますが、それにとどまりません。「国や民間が進めるさまざまな支援活動や、交流活動による相互理解と信頼関係」、そして「テクノロジーやノウハウを応用した、さまざまな分野での問題解決能力の発揮」などが、大きなソフトパワーとなります。日本はこうした領域で、今までたくさんの実績を積んできましたし、将来も一層大きな貢献が可能な立場です。

おりしもロンドンオリンピックでは、男子サッカーと女子バレーで、日韓が銅メダルを賭けて戦います。オリンピックは、各国が「ソフトパワー」の成果を競う世界最高の祭典のひとつです。勝っても負けても、お互いに健闘をたたえ合い、握手をして試合を終えるところに、国際競技の清々しさと美しさがあります。オリンピックが終わっても、領土問題は続きます。日韓も日露も日中も、互いに礼節をもって課題解決力を発揮する「ソフトパワーの競争」をする好機です。



讀賣新聞

【記事】 韓国大統領きょう竹島へ

  • 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が10日に、竹島への訪問を計画していることがわかった。計画によると、10日午前中にヘリコプターでソウルを出発し、天候を見極めて竹島を訪問する。
  • 日本政府は、領有権をめぐり日韓で対立が続く竹島に李大統領が訪問に踏み切れば、「日韓関係に致命的な影響を与えるのは必至だ」と強く反発している。ぎりぎりまで外交ルートを通じて韓国側を説得して計画停止を求める構えだが、説得は困難が予想される。
  • 2008年7月には韓首相(当時)が竹島を訪問しているが、韓国歴代大統領による訪問は避けてきた。今回訪問が実施されれば、韓国大統領としては史上初めてとなる。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 韓国大統領きょう竹島へ

  • 日韓関係筋によると、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が10日、島根県の竹島(韓国名・独島)の訪問を計画していることが分かった。
  • 日韓双方が領有権を主張しているが、韓国が実効支配している竹島へは、2008年に当時の韓首相が訪問したが、大統領が訪問した例はない。
  • 日本政府高官は9日夜、「厳しい対応を取らざるを得ない」と語った。日本政府はあらゆるルートを使って中止を求めているが、訪問が実現すれば、日韓の政府間関係が一気に悪化するのは避けられそうにない。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 韓国大統領きょう竹島へ

  • 日本政府は9日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が10日に島根県の竹島(韓国名・独島)を訪問するとの情報をつかみ、外交ルートを通じて訪問中止を韓国政府に求めた。
  • これまで、韓国の首相や国会議員が竹島を訪問したことはあるが、現職大統領の訪問は初めてとなる。李大統領の訪問計画には、韓国による竹島の実効支配を誇示する狙いと、8月15日の「光復節」(日本の植民地支配からの解放を祝う日)を前に大統領としてのリーダーシップを国民にアピールする狙いもあると見られる。
  • 日本政府高官は「訪問すれば日韓関係が緊迫するのは必至だ。日韓関係を良くしようと思っていないのか、とさえ思う」と不快感を示した。従軍慰安婦問題などをめぐり冷え込んでいる日韓関係は、一層の悪化が懸念される。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 経常増益2%に鈍化

  • 上場企業の2012年4~6月期の連結経常利益は、東日本大震災直後の前年同期に比べ2%増にとどまった。1~3月期の2桁増益から鈍化しており、収益回復の足取りが重い。
  • 全産業で見た経常利益の増益要因のうち、自動車が7割近くを稼いだ。通常、取引先の裾野が広い自動車の好調は他の業種にも波及するが、4~6月期はアジアの素材市況の悪化により、製造業17業種のうち鉄鋼や化学など13業種が減益・赤字となる異例の構図となった。
  • 内需主体の非製造業の検討などを支えに、全産業で2013年3月期通期は前期比18%増益を見込む。しかし、上期(2012年4月~9月)は5%増益、下期(2012年10月~2013年3月)は31%増益と、企業は下期偏重型の収益見通しを組んでおり、下振れリスクもある。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 消費増税で中小企業に悪影響

  • 消費増税法案が10日の参院本会議で可決・成立することが確実になったが、実際の増税には「景気条項」のハードルがある。しかし一旦増税となれば、多くの人の雇用やものづくりを支える中小企業の経営を直撃する。
  • 帝国データバンクの調査によると、中小企業の67%が消費増税によって業績に悪影響が出ると答えている。具体的な悪影響は、①税負担の上昇(51.9%)、②販売価格に転嫁できない(38.9%)、③納入価格の値下げ要請(34.1)、④駆け込み需要後の反動減が大きい(32.2%)、税額の端数処理(システム改修など)(14.0%)。(複数回答)
  • このように、消費増税による負担増に加えて、立場の弱い中小企業は価格転嫁が難しいという現実がある。「東京電力の電気料金値上げで「もうやっていけない」と廃業した零細企業がいくつもある。これでまた廃業が増える」。中小企業が集まる東京都大田区の大田工業連合会会長の船久さんは語る。港区の印刷業者は、「政治は本当に国民のことを考えているのか。とにかく一日も早く解散してほしい」との声を発した。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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