2012.08.03 fri

新聞1面トップ 2012年8月3日

新聞1面トップ 2012年8月3日


讀賣新聞

【記事】 首相問責、来週にも

  • 自民党は2日、参院で審議中の社会保障と税の一体改革法案の早期採決に政府・民主党が応じない場合には、野田首相に対する問責決議案を来週中にも提出する方針を固めた。
  • 自民党としては、法案成立と引き換えにする形で、今国会会期末(9月8日)までの衆院解散・総選挙を野田首相に確約させたい考えだ。
  • 一方で共産党、社民党、みんなの党の3党は、新党「国民の生活が第一」などに呼び掛けて、衆院に内閣不信任決議案を共同提出することで一致した。「生活」も応じる方針ンを固めた。法案の参院採決を前に、野党各党の動きが活発化し、政局がにわかに緊迫の度を増している。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 

【リグミから一言】 我が国が成し遂げていかなければならないことは、国難ともいえる状況に対して「ウィン・ウィン」の状況を創造していくことですが、政治の現場では、相変わらず「ウィン・ルーズ」のゲームが続いています。日本の政治の現状に対して、イギリスの元首相チャーチルの言葉が重く響きます。


「これまでも多くの政治体制が試みられてきたし、またこれからも過ちと悲哀にみちたこの世界中で試みられていくだろう。民主主義が完全で賢明であると見せかけることは誰にも出来ない。実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」
Wikiquote

 

朝日新聞

【記事】 カネミ油症、救済法成立へ

  • カネミ油症の被害救済をめぐり、民主党、自民党、公明党は2日、支援法案を今国会に共同提出することで合意した。法案によると国は当面、毎年1回「健康実態調査」を実施し、それを受けた認定患者や同居家族に協力費の名目で1人あたり19万円を支給する。さらに原因企業のカネミ倉庫に国が出している経営支援金を増額し、一人当たり5万円を上乗せする。
  • カネミ油症は、国内最大の食品公害とされる。1968年にカネミ倉庫製の米ぬか油を食べた人に黒い吹き出物をはじめ、神経、関節、呼吸器などにさまざまな症状が出て、西日本一帯で1万4千人が健康被害を届け出た。油の製造工程で混入したPCBが加熱されて生じたダイオキシン類が主因とされる。認定患者数は1966人(2012年3月末現在)。
  • 認定患者への救済は、これまでカネミ倉庫による一時金23万円と医療費の一部支払いだけだった。政府は、政府米の保管をカネミ倉庫に優先させ、同社の経営安定させ間接的に患者を支援してきたが、同業務の商社への委託に伴い、カネミ倉庫の経営悪化が懸念されていた。法案は今国会で成立する見通しで、来年度概算要求への反映を目指す。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/

【リグミの補足】 朝日新聞は、8月1日の水俣病の救済法の申請打ち切りに続く、公害病に関する報道です。カネミ油症の救済内容が一読してわかりにくいのは、厚労省が「救済は原因企業によることが原則」との姿勢を崩していないため、患者の医療費などの直接支援を避け、調査名目としているためです(朝日新聞)。企業の社会的責任に対する国の関与と救済について考えさせられるケースです。
 

毎日新聞

【記事】 アナン特使、辞任へ

  • シリア停戦を仲介してきたアナン国連・アラブ連盟合同特使(前国連事務総長)は2日、任期末の8月31付で特使を辞任すると表明した。シリア北部アレッポを中心に政府軍と反体制派の戦闘が激化し、調停失敗が確実になったため。
  • アナン氏は今年2月に特使に任命された。アサド政権と反体制派との停戦や政治対話の促進など6項目からなる調停案を提示。さらに国連安保理常任理事国外相らを集めた「連絡グループ会議」を開催し、シリア政府と反体制派およびその他の各派が参加する挙国一致の「移行政府」樹立への合意を取り付けるなど、停戦調停に奔走してきたが、実らなかった。
  • パン・ギムン国連事務総長は、アナン氏の辞表を受理し、後任人事に着手した。国際社会による仲介の象徴だったアナン特使の辞任により、内戦状態にあるシリア情勢は一層の混迷が懸念される事態となった。

(毎日jp http://mainichi.jp/


【リグミの補足】 アナン氏は、団結してアサド政権に圧力をかけるように安保理に要請してきましたが、対シリア制裁案が中露の拒否権によって3度に渡って廃案となったことで、事態打開は困難と判断したようです(毎日新聞)。読売新聞の記事へのコメントとも関連しますが、国連という制度が安保理常任理事国の「米、露、英、仏、中」の拒否権発動によって歪められる姿を見るにつけ、国際政治の基底にあるエゴイズムを実感します。世界中で「ウィン・ルーズ」が繰り返されている現実に対して、どういう変化の一歩を刻めるのか、問題意識をもって見ていく必要を感じます。


参考まで、拒否権をもった国の過去の拒否回数は以下の通りです。①ソ連・ロシア126回(ロシアとしては6回)、②アメリカ83回、③イギリス32回、④フランス18回、⑤中華民国・中国9(中国としては8回)(Wikipedia )。拒否権発動数の動きを見ると、世界に対してNoと言うことが「大国の証」となっている実態が見えてきます。これからは中国の拒否権発動の増加が目立つようになるのでしょうか。


日経新聞

【記事】 南欧国債、購入の用意

  • 欧州中央銀行(ECB)は2日に理事会を開き、スペイン支援のために南欧国債の買い入れを再開する方針を固めた。
  • ユーロ圏4位の経済規模を持つスペインは財政不安に直面しており、国債利回りが上昇(価格は下落)している。ECBによる国債購入で、南欧各国が市場から容易に資金を調達できるようにする。
  • ただ購入はユーロ圏の協力などを条件としており、直ちに効果が期待できないと市場にみなされ、通貨ユーロやスペイン国債が売られた。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/

 

東京新聞

【記事】 福島に腰据えぬ保安院

  • 東京電力福島第1原発の事故後、経産省原子力安全・保安院が福島県内に派遣した294人の職員のうち、1年以上の長期出張が5人、半年以上が4人いた。東京新聞の取材で判明した。
  • 出張は1回当り1週間から1ヵ月ほどで、出張期間が終わるといったん東京に戻って休み、数日後に福島に戻るパターンを繰り返す例が多く、実態としては現地勤務とほぼ同じだ。
  • 現地に済まない臨時の形では、現地の信頼は得にくい。1日に福島市で開かれた原発比率に関する政府の意見聴取会では、「霞が関の人たちや政治家こそ、福島に住んでともの考えて欲しい」と何人もの県民が訴えた。福島第1原発の廃炉までは30年以上かかると言われており、職員からも腰掛けと受け取られる状況が続くことに疑問の声が出ている。

 

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


 

【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ