2012.07.25 wed

新聞1面トップ 2012年7月25日

新聞1面トップ 2012年7月25日


讀賣新聞

【記事】 東電一括賠償来月から

  • 東京電力は24日、福島第1原発事故で避難指示区域に宅地や建物を持つ被災者への賠償基準を発表した。今回の基準は、政府が20日に公表した賠償方針を踏襲したもの。
  • 政府が今春から進めている避難区域の見直しに合わせ、今後5年間は戻れない「帰還困難区域」、帰還まで数年かかる「居住制限区域」、除染後に避難指示が解除される「避難指示解除準備区域」ごとに定めた。
  • 自宅に戻るため必要となる建物の修復費用の一部は早ければ8月下旬から支払いを始める。既に行ってきた精神的被害への賠償なども含め一括して支払えるようにして、生活再建を後押しする。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/

【リグミから一言】 東電が示した賠償モデルは、帰宅困難区域の支払総額が5713万円です。そのうち、1800万円が「精神的損害」という名目です。物理的な損害・損失で推し量れないもの。人間として拠って立つ生活基盤や人間関係、仕事、コミュニティの諸々などがすべて、剥奪されたのです。それは「アイデンティティの危機」です。その代償が1800万円という金額でいいのか。計算できない損失を計算する矛盾を感じます。


朝日新聞

【記事】 10都県でストロンチウム

  • 文部科学省の24日の発表によると、東京電力福島第1原発事故の後、大気中の放出された放射性ストロンチウム90が、福島、宮城以外の10都県で確認された。
  • 原発事故が原因と確認されたのは、岩手、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川。いずれも昨年3~4月に観測された。
  • 茨城県では、2000年から原発事故前までの国内の最大値を20倍上回る1平方メートル当り6ベクレルが検出された。これは大気圏内核実験が盛んだった1960年代に国内で観測された最大値の60分の1程度になる。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/

【リグミの補足】 国際放射線防護委員会(ICRP)によるとストロンチウムは、1ベクレル吸入した場合、がんなど健康への影響は放射性セシウムの4~5倍大きいと評価しています。ただし、文科省が発表したストロンチウム90とセシウム137、134の比率は、最も高率の秋田県でも625分の1で、低い千葉、東京、神奈川では1万分の1以下です。健康や環境への影響はまずない、というのが専門家の見解のようです(朝日新聞社会面)。放射線はさまざまな種類があるのに、セシウムやヨウ素ばかりが報道されるのを不思議に思っていましたが、「事故の影響でセシウムやヨウ素など主要な核種の検査を優先したため、ストロンチウムの分析が遅れた」ためと文科省は説明しています(朝日新聞1面)。他の核種はどうなのでしょうか。


毎日新聞

【記事】  ツアーバス仲介禁止

  • 国土交通省は、46人が死傷した関越道の高速ツアーバス事故を受けて、今月末の高速バスツアー業界の制度改正を進めている。新制度では、バス会社を手配する仲介や下請けを全面的に禁止する方針を固めた。
  • 旅行会社についても、高速路線バス事業者として組み入れ、貸切バス会社との運行委託契約について同省の許可を取らせる。
  • 同事故で、ツアーを企画した旅行会社と運行したバス会社の間に複数の仲介業者が介在し、安全管理上問題があったための措置。違反したバス業者は、道路運送法に基づき、最低1年間の高速バスの業務停止など行政処分も科す。

(毎日jp http://mainichi.jp/

【リグミから一言】 旅行会社とバス事業者の「安全運行の責任」が分断されない形になるのは、一歩前進だと思います。


日経新聞

【記事】 トヨタ、カーシェア参入

  • トヨタ自動車は、共同で自動車を利用するカーシェアリングの事業を全国で始める。「ラクモ」というブランドをつくり、約1200ある系列レンタカー店にサービスの導入を促す。
  • カーシェアリングは15分や30分といった短い時間だけ車を使いたい人が、既存のレンタカーサービスより安く利用できる点が特徴。ガソリン代を負担している事業者も多く、この点でもレンタカーより割安になり、利用者が徐々に増えている。
  • カーシェアリングは、主に米欧で普及し始めているが、自動車最大手のトヨタが参入することで利用できる場所が大幅に増え、日本国内でも一気に普及する可能性がある。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/

【リグミから一言】 消費者マーケットを長く見てきている三浦展さんは新著『第四の消費』で、2005年から新しい消費トレンドが起きていると言います。今までモノを私有することが当たり前だった消費形態が、「共有主義」に移行しているという見立てです。カーシェアやシェアハウスはその代表です。三浦さんは、この新しい時代感覚の背景には、「個人重視から社会重視」への変化、つながり志向があると見ます。消費が新しい時代感覚を身にまといつつあります。企業にとってはモノが売れなくなる厳しい時代ですが、シェア=共有という新しい生き方に対応することで、新しい商機が生まれます。


東京新聞

【記事】 7割、過労死基準以上

  • 東証一部上場の売り上げ上位100社(2011年決算)の7割が、月80時間以上の残業を社員に認めていることがわかった。月80時間残業は、厚生労働省の通達で過労死との因果関係が強いとされる「過労死ライン」にあたるレベル。
  • 時間外労働・休日労働に関する協定(三六協定)の残業上限時間は、大日本印刷の月200時間を筆頭に、37社が月100時間を超え、70社が月80時間(過労ライン)を超えていた。最低は、セブン・イレブン・ジャパン、アフルレッサ、三越伊勢丹の月45時間。
  • 厚労省の指導が形骸化し、過労死しかねない働き方に歯止めがかかっていない現状が浮かんだ。西谷敏・大阪市立大名誉教授(労働法)は「大手の7割で協定時間が過労死基準を超えているのは、ゆゆしき事態だ。法律そのものに限度時間を定めるべきだ」と語る。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/

【リグミから一言】 この企業リストに入らない小売・飲食系の現場でのサービス残業の実態など、制度の背後に隠れた労働環境の劣悪さの方がより深刻な問題だと思います。また、ノマド的な仕事スタイルがこれから大手企業の中にも次第に浸透するはずで、そうすると、ネットにつながっている限り仕事は24時間続く可能性があり、「サービス残業」の常態化も懸念されます。仕事という「スイッチ」のオン・オフを柔軟にできる手立てが必要です。



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