2012.07.15 sun

新聞1面トップ 2012年7月15日

新聞1面トップ 2012年7月15日


【リグミの解説】 本日の読売新聞の「政府・事故調の記事」と、毎日新聞の「大津市のいじめ問題の記事」と、東京新聞の「エネルギー政策の国民的議論の記事」に通底するテーマがあることに気づかされます。そのキーワードは「責任を負う」ということだと思います。一言で責任といっても、そこにはいろいろな意味があり、限界もあります。それでも、逃げずに責任を負っていくことではじめて、つらい失敗や惨状から貴重な学びを得ることができ、それを未来の成長につなげることが可能となります。

讀賣新聞

【記事】 福島第1「第2より不適切」

  • 東京電力福島第1原発事故に関する政府の事故調査・検証委員会(委員長=畑村洋太郎・東京大学名誉教授)の最終報告の概要が判明した。主な指摘は4つある。
  • ①「福島第1原発の初動は、福島第2原発のと比べて注水の段取りなどで適切さを欠いた」、②「東電の事故調査は不十分で、新たな知見を安全性向上を役立てよという熱意がない」、③「入院患者らの救出が遅れたのは、福島県と自衛隊の連携不足などが原因で、不適切だった」、④「SPEEDIを活用すれば住民の屋外での被曝を最小限にできた可能性がある」
  • 最終報告は、23日に公表される。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/

【リグミから一言】 政府・事故調の最終報告の概要を伝える記事です。先に公表された国会・事故調と合わせて、徹底した検証と活用を求めたいと思います。特に、東京電力の経営体質問題にまでメスを入れる必要があります。それは、経産省をはじめとする官僚組織の体質問題と一対のものです。「原因責任」と「結果責任」の両方を曖昧にし、隠ぺいしようとするのが、日本の権力機構の構造問題です。ここが正されない限り、国民の不安と不信は払拭できません。そして問題は再発します。


朝日新聞

【記事】 シベリア鉄道復権 ~動く極東

  • ロシア沿海地方ザルビノにあるトロイツァ港から日本の自動車がシベリア鉄道で輸送されている。
  • 自動車各社はシベリア鉄道のスピードに注目する。モスクワまで、船の欧州航路なら60日かかるが、シベリア鉄道ならモスクワまで11日前後、日本から同市内の販売店まで数えても20日で届く。
  • シベリア鉄道は、設備の老朽化、手荒な作業や遅れなど、経済が混乱した1990年代の悪いイメージがあるが、積極投資で悪評を返上し、商機を運ぶ大動脈になっている。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 校長、いじめの認識否定

  • 大津市の市立中学2年の男子生徒が昨年10月に自殺をした問題で、生徒が通っていた中学の校長が問題発覚後初めて記者会見した。
  • 生徒が亡くなる6日前に「生徒がいじめを受けている」との情報を受け、担任らと話し合ったことを認めたが、「けんかと思った。いじめの認識はなかった」と強調した。
  • 「当事者からの聞き取りだけで終わっていて突っ込みが足りなかった。私どもの大きな判断の見落としだと感じている」と述べた。

(毎日jp http://mainichi.jp/

【リグミから一言】 読売新聞の政府・事故調の記事に対するコメントを繰り返します。「原因責任」と「結果責任」の両方を曖昧にし、隠ぺいしようとするのが、日本の権力機構の構造問題です。教育現場も同じです。「いじめ」は、社会の縮図です。大人たちが毅然とした態度で責任を取る姿を見て、子供たちは学びます。同時に、大人たちが、何があっても自分のことを守ってくれるんだと知ることで、子どもたちは救われます。徹底して追求する。でも、叩くだけで終わりにしない。今回報道されている事件が、全国で日常的に繰り返されている「いじめ」に真正面から取り組む貴重な第一歩となることを願います。


日経新聞

【記事】 KDDIがスパートTV

  • 内容KDDIはCATV会社と共同で、「スマートテレビ」のサービスを始める。今使っているテレビに専用端末を取り付けることで、番組とインターネットの両方を楽しめようになる。
  • スマートホンなどで配信しているのと同じ映画やゲームを大画面で利用できるようにする。
  • 10万円程度する専用テレビを買わずにすみ、スマートテレビが普及するきっかけになりそうだ。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 原発比率、議論深まらず

  • 将来の原発比率について、政府のエネルギー・環境会議が国民の意見を聞く会が14日に始まった。
  • 初回はさいたま市で開催され、抽選で選ばれた9人が、政府提示の3案の原発比率①0%、②15%、③20~25%に関して意見を述べた。
  • 「国民的議論を深める」ことが目的とされるが、政府側との意見交換もなく、各自が言い分を主張しただけで終わり、議論は深まらなかった。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/

【リグミから一言】 「国民的議論」の実践の難しさを感じさせる記事です。かつては、国のエネルギー政策は国民不在で決められていました。しかし、3.11以降に新しいムーブメントが起きています。国民が主体者であり当事者であるという民主主義の基本点に立ち戻る意識であり、行動です。民主党政権もそのことを意識すればこそ、今回のような取り組みを進めているのだと思います。やり方の巧拙はあるでしょうが、やり続け向上させていくことで、新しい価値が創造されると期待しています。



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