2012.07.23 mon

新聞1面トップ 2012年7月23日

新聞1面トップ 2012年7月23日


【リグミの解説】 本日の1面トップ記事の読売新聞の「いじめ問題への文科省の取組み」と朝日新聞の「福島から自主避難した母子アンケート」に共通するひとつのポイントがあります。それは、「舞台から降りることは現実的な選択肢だ」「危険を感じたら逃げていい」ということです。

「絆」や「つながり」は大事です。それは文字通り社会をひとつにするものです。しかし、社会にはいろいろな顔があり、さまざまな側面があります。「ひとりになる」、「集団から分離する」、という選択肢を常に持ち合わせることで、風通しの良い成熟した社会を作れるのだと思います。


讀賣新聞

【記事】 いじめ防止、国が新組織

  • 平野文部科学相は22日、全国の学校や教育委員会に対し、いじめに関する専門的な指導・助言を行う新組織を8月中にも文科省内に設置する考えを明らかにした。
  • 大津市で昨年10月に市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題を受けたもので、同省がいじめ問題の対応に特化した組織を作るのは初めて。
  • 教育現場でいじめが原因とみられる自殺が後を絶たない現状を重く見たもので、防止・根絶への取り組みを強めていきたい考えだ。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 

【リグミのコメント】 2010年度の全国の学校が把握したいじめは7万7千件余あったそうです。文科省はこれまで、いじめの全国調査をし、全体的な傾向を把握・分析した上で、生徒指導マニュアル作成などの業務を行ってきましたが、個別のいじめ問題には直接介入していません。しかし今回は大津市長の要請を受け、指導助言の職員3人を派遣しました(読売新聞)。
 

いじめ現象は、「社会を映す鏡」だと思います。学校が閉ざされた空間になり、生徒たちが学校という「舞台」から降りられない状況になると、逃げ場のない負のエネルギーの矛先が、特定の個人に向かうのではないかと想像します。朝日新聞は朝刊1面で毎日、識者などによる「いじめ」に関する子どもたちへのメッセージを掲載しています。今日は社会学者の土井隆義さんです。なぜ若者が生きづらい世の中なのかを研究している土井さんは、その一因が「絆」や「つながり」が重視され過ぎることにあると言います。親も先生も「人間関係を大切にしなさい」と強調しすぎると、「つながり過剰症候群」になるのではないかと指摘しています。
 

学校という「舞台」を降りて一人になっても大丈夫です。舞台裏で助けてくれる大人や同世代の仲間たちがかならずいます。


朝日新聞

【記事】 母子避難、重い経済負担

  • 東京電力福島第1原発事故のあと、福島県から子どもを連れて県外に避難している母親たちに、経済的、精神的負担が重くのしかかっている。朝日新聞によるアンケート調査で判明した。222人の母親から有効回答を得た。避難先は19都道府県に及ぶ。
  • 今困っていることは、「二重生活の経済負担(191人)」「将来の展望が立たない(146人)」「賠償金の支払いに不安(93人)」「父親と離れていることで子供に精神的な影響が出ている(93人)」「子供の様子が心配(71人)」など(複数回答)。
  • こうした「母子避難」は避難指示区域外からがほとんどで、避難に伴う費用は基本的に東電の賠償対象とならない。アンケートでも、改善が必要なことは「生活一時金の支援」が148人と一番多い。負担が重いのは「福島との間の交通費(110人)」で、そのつぎが食費と光熱費となる。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/

【リグミのコメント】 福島の留まることを選択している家庭が多い中で、子どものことを思い、自主避難している母親たちの生の声が今回のアンケートには込められていると思います。取材とアンケート調査をした記者は、「母子避難を選択した母親たちが、夫や家族、友人が残る福島を離れていることに後ろめたさを感じている」と記しています(朝日新聞社会面)。

県外に避難したくてもできない家庭もあるでしょう。出る者も留まる者も、胸中は複雑です。福島は安全安心なところだ、と実態面と心理面の両方で確信できるようになるのは、いつのことなのでしょうか。長期の低線量被爆による健康被害を心配する必要はない、という専門家の声を多く聞きます。しかし「そういう専門家は自ら子どもを連れて福島に移住してほしい」と思う母親たちの内なる声にも耳を傾ける必要があります。


毎日新聞

【記事】 シリア、化学兵器準備か

  • 内戦が激化するシリアで毎日新聞は、「アサド政権が保有するとされる化学兵器を移動させ、使用に備えている可能性がある」との情報を得た。反体制派の離反兵士団体「自由シリア軍」の幹部への取材による。
  • 同団体のクルディ副司令官は、「政府軍にガスマスク配布の指示が出た」とも指摘し、「最後の手段として化学兵器を使用する可能性がある」と語った。離反したファレス前駐イラン大使も英BBCで「アサド政権は追いつめられれば化学兵器使用も辞さない」と答えている。
  • イスラエルなど周辺国は、化学兵器が武装勢力の手に渡る事態を警戒し、米国も憂慮している。ただ実態は不明であり、加熱する情報戦の様相も呈している。

(毎日jp http://mainichi.jp/

【リグミから一言】 シリアは「サリン」「VXガス」などを製造を1973年から続けているとみられます(毎日新聞)。悲惨なオウム事件を体験した日本人として、遠いシリアの内戦で「サリン」が撒かれる可能性もあるかもしれないと知り、世界で起きていることが決して他人事ではない、という実感をもちました。アサド政権の自重を強く求めます。


日経新聞

【記事】 市場に育つ成長の芽 ~金融ニッポン

  • 世界に激震が走ったリーマン・ショックからまもなく4年経つが、危機のトンネルから抜け出せない欧米を横目に、日本の金融市場や銀行・証券の地位は、相対的に高まってきた。不良債権の問題にようやくケリを付つけた邦銀は、信用力の目安となる格付けなどの面で、いつの間にか世界の優等生に変身し、再び海外への攻勢をうかがう。
  • スカイプを創業し、ベンチャーファンドを運営するゼンストローム氏が最も注目する国のひとつが日本だ。米投資会社リバーサイド・パートナーズの最高責任者のコール氏も、「卓越した技術力を持った企業が多い日本は宝の山」と語る。
  • 今年6月末までの20年間で日経平均株は4割超下がったが、全体の2割の企業は株価が上昇し、その中で54社は株価は2倍以上になった。高い製品シェアや技術力を武器に難局を乗り切った。再評価の兆しが出てきた日本の「金融」の力に、この国の浮沈がかかる。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 駿河湾海底、ひずみ蓄積

  • 近い将来に予想される東海地震で、駿河湾でこれまで震源域と思われていなかったプレート境界付近で、津波を巨大化させる恐れのあるひずみが蓄積されている可能性があることがわかった。名古屋大と東海大海洋研究所のグループが突き止めた。
  • 同グループは、衛星利用測位システム(GPS)と音波を利用し、2004年から2010年まで、太平洋プレート境界・南海トラフのすぐ西側の海底の動きを調査した。海底が1年に4センチの割合で西に動いていたことから、境界近くの海底下5キロ以内の場所でくっつき(固着)、ひずみがたまっていると判断した。
  • これまでプレート境界のすぐ西側でひずみは見つかっておらず、今回が初めての観測結果となる。内閣府が想定する巨大な津波が発生しうることを示す証拠となる。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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