2012.07.22 sun

新聞1面トップ 2012年7月22日

新聞1面トップ 2012年7月22日


讀賣新聞

【記事】 JX・東ガス、火力倍増

  • 東京ガスと石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは、川崎市で共同運営している火力発電所の能力を増強する方向で検討に入った。
  • 現在の発電能力は、現在の原発1基分相当の85万キロワットを、2020年頃に2倍に増やす。増加分は殆ど新電力に販売するため、新電力の供給能力が高まり、利用者が電気を購入する際の選択肢が増える。新電力とは、工場やビルなど大口の需要家に電力を販売する新規参入事業者。自前の送電線を持たず、電力会社の利用料を払って送電している。
  • 東京電力が原発の再稼働に目途を立てられず、供給力を増やせないため、東ガスとJXは、発電能力を増強しても需要は十分にあると判断した。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/

【リグミの補足】 枝野経産相は、電力会社の発送電分離について、電力会社を持ち株会社とし、傘下に発電会社と送電会社をぶらさげる方式が望ましいという考えを表明しています。その際に、新電力が不利にならないように、送電会社の手数料の透明化を義務付ける見通しです(読売新聞)。

対等な競争環境を整え、安全で安心かつ経済性の高い電力をどんどん供給する市場を作ることで、地域独占にあぐらをかき、経営努力を怠ってきた電力会社に喝を入れてもらいたいと思います。NTTとJRの事例は、独占解体のメリットがデメリットを上回ることを示しています。電電公社、国鉄の時代には、経営と呼べるものはありませんでした。競争が経営に覚醒をもたらします。ここから学べることは多いはずです。


朝日新聞

【記事】 復興住宅着工まだ1%

  • 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県で、災害公営住宅(復興住宅)の着工が建設予定(約2万戸)の1%に留まっている。
  • 災害公営住宅は、自治体が供給し、自宅を失った被災者が低賃金で住むことができる。岩手は5340戸、宮城は約1万5000戸福島は約1300戸を計画している。しかし着工分は、岩手159戸(約3%)、宮城12戸(約0.08%)、福島58戸(約4.5%)。
  • 防災集団移転(約2万3300戸)でも、国の同意を得たのが24%に留まる。7月22日で大震災から500日目となるが、いまだに約27万人が仮設住宅で暮らしている。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/

【リグミから一言】 震災復興計画が未だ絵に描いた餅に過ぎないことを象徴する話です。計画には工程表があり、PDCA(計画⇒実行⇒検証⇒計画修正)のサイクルを回し続ける必要があります。20年先を見据えた本腰の取組となることを願います。


毎日新聞

【記事】 EU原発、安全評価不備

  • 欧州連合(EU)の原子力安全規制当局者グループが、各国による原発の安全評価(ストレスチェック)に対して、他国の専門家による安全性相互評価(ピアレビュー)を実施したところ、EU27ヵ国の中で原発を有する14ヵ国すべてで改善点を指摘された。
  • 英国は、設計を超えた地震・洪水・津波などの原発が十分耐えられるかどうかについて「具体的な証拠がない」と厳しい指摘を受けた。ドイツは、EUの求めた重大自然災害への耐性検査を実施していなかった。
  • 「解決まで2~3年」かかる事例も判明したため、評価を数年間継続して実施する。原発は停止しないが、安全性向上に継続的に取り組む必要があると判断した。

(毎日jp http://mainichi.jp/

【リグミから一言】 EU各国でも原発の安全評価に種々の問題があることがわかる記事です。原発がかかえる特殊性は、「ミスに寛容でない」ということです。そういう意味で、原発の安全評価は例外的に徹底する必要があります。日本が特に学べる点は、透明性を高めるために他国の専門家による相互評価(ピアレビュー)をした点です。日本もアメリカやフランスなど原発をたくさん抱える国によるレビュー、そして国際原子力機関(IAEA)の検査を受けるべきだと思います。


日経新聞

【記事】 薬開発にスパコン「京」

  • 製薬大手が、抗がん剤など新薬の開発期間短縮に向けスーパーコンピューターを本格的に利用する。
  • 第一三共は、計算速度世界2位の「京(けい)」を使い、新薬候補を選び出す期間の半減を目指す。アステラル製薬もスパコン利用で東京工業大学と組む。
  • 欧米大手は、新薬候補を作るベンチャー企業を高額で買収して開発期間短縮を狙うが、資金力で劣る日本勢は、スパコンの有効活用で対抗する。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 3D映画しぼむ

  • 東宝、松竹、東映、角川映画の4社は、2010年と2011年の2年間で、邦画の3Dを15本程度公開したが、今年は4本に留まる。
  • 3月公開の「ウルトラマンサーガ」(松竹配給)の例では、情景した全映画館の40%を3Dにしたが、興行収入に占める3D上映の割合は25%で、「1本当り5千万とも1億円ともいわれる3Dの製作コスト」(松竹映画宣伝部)に見合う結果を出せていない。
  • 「米国映画と違って、邦画はドラマ性が強い」(東映映画宣伝部)ため、邦画は3Dに不向きとみられる。3.11後の心理も、人を驚かせる3D映像の回避につながっているのではないだろうか。3Dは映画誕生以来の革命といわれるが、邦画に根づく気配はない。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/

【リグミの補足】 3D全盛のハリウッドにおける最高の映画祭典であるアカデミー賞。その今年の作品賞は、白黒&無声映画の『アーティスト』でした。映画が誕生して、サイレントからトーキーになり、モノクロからカラーになり、2Dから3Dになり、テクノロジーは進化し続けています。しかし、映画の本質はテクノロジーの進化にあるのではなく、観客の心をつかむストーリーにある、とスピルバーグ監督も言っています。人間性の本質に根差すことで、テクノロジーは良い形で活かされることを実感させる話です。



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