2012.07.21 sat

新聞1面トップ 2012年7月21日

新聞1面トップ 2012年7月21日


【リグミの解説】  本日の新聞1面トップ記事でもっとも注目すべきは、朝日の線量計に鉛板、被曝隠しです。原発の事故処理や工事の現場で起きていることが、臨場感をもって伝わってきます。例外的なことなのか、普通に行われていることなのか。この下請け会社の個別事例に留めず、追求を続けてもらいたいテーマです。

讀賣新聞

【記事】 ビール卸3社、不当廉売

  • 公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当廉売)でビールの大手位卸売3社に警告する方針を固め、事前通知した。ビールなどの販売をめぐり、大手スーパー「イオン」(千葉市)に仕入れ値を下回る価格で下した疑い。
  • ビール会社の販売奨励金が2005年に減らされて以降、3社はイオンに赤字で卸していたという。警告を受けるのは、三菱食品、伊藤忠食品、日本酒類販売。
  • 公取委は、ビール大手4社とイオンにも不当廉売の原因があるとして、適正な価格で取引するよう異例の協力要請を行う。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/

【リグミの補足】 こうしたケースでは、小売り側が市場支配力を利用して卸側が不当廉売せざるを得ない状況に追い込んでいるのが実態ではないか、という疑念があります。実際、公取委も当初は、イオン側が卸売会社を追い込んだとの見立てで「優越的地位の乱用」の適用を目指したそうです。しかし、イオンへの卸をやめた卸売会社もあること、消費者利益になっている面もあること、などから適用を見送ったようです。

ビールメーカーによる販売奨励金などの不透明な慣行があって、はじめて一定の利益を確保できていた構造的な要因が生み出し問題であり、取引の透明化をメーカー、卸、小売りが等しく目指さない限り、構造要因の排除はできないと思います。問題解決できず、卸が適正利益を確保できなければ、どこか他のところで帳尻を合わせるもので、ビールは安くなっても、全体としては結局は消費者にしわ寄せが行きます。



朝日新聞

【記事】 線量計に鉛板、被曝隠し

  • 東京電力が発注した福島第1原発の復旧工事で、下請け会社の役員が昨年12月、放射線の線量計を厚さ数ミリの鉛のカバーで覆うように作業員に指示していたことが判明した。下請け会社は福島県の中堅建設会社の「ビルトアップ」。
  • 法令で上限が決まっている作業員の被曝線量を少なく見せる偽装工作とみられる。朝日新聞の取材に対して、複数の作業員が鉛カバーの装着を認めた。
  • 役員は指示したことも装着したことも否定しているが、厚生労働省は労働安全衛生法に違反する疑いがあるとして調査を始めた。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/

【リグミのコメント】 録音記録を再現した記事本文は臨場感があります。ビルトアップ社は各地の原発で工事を請け負っており、年間被曝量の50ミリシーベルトを「福島第1原発の事故処理で使い果たしたくない」という思惑があったようです。原発での仕事を継続できなくなるからです。法令を無視し、不正を行い、さらには働く者の命の危険を高める行為を強要しないと仕事(ビジネス)が成り立たないようでは話になりません。原発の現場で何が起きているのか。記事では発注元の東京電力のことには何も触れていませんが、危険な仕事は全部下請けに振り、不正も見て見ぬふりをしているのではないか。電力会社が犯している「未必の故意」を憶測させる記事です。


毎日新聞

【記事】 シリア死者、最悪300人超

  • 反体制派組織「シリア人権観測所」によるシリアのアサド政権と反体制派による戦闘が激化した19日、首都ダマスカスやその郊外を中心にシリア全土で300人以上が死亡した。昨年3月に民主化闘争が本格化して以降、1日の死者数としては最悪となった。
  • 戦闘は20日も各地で続き、反体制派によると死者は150人近くに上った。首都では政府軍が一部地域を反体制派から奪還。多数の市民が難を逃れようと国境に殺到した。
  • 20日からはイスラム教の断食月(ラマダン)が始まるが、この期間は宗教心や連帯感が高まるため、情勢がさらに激化する可能性もある。

(毎日jp http://mainichi.jp/

【リグミの補足】 「アラブの春」で、チュニジアとエジプトでは大統領が退陣しました。リビアでは内戦状態になった末、欧米諸国が軍事介入し、最終的にカダフィ大佐は殺害され政権が崩壊しました。一方のシリアは、昨年末までで死者数が5000人を超える激しい内戦状態がなぜこれほど長びいているのでしょうか。

理由は3つぐらいあるようです。①アサド政権が倒れると政権に抑圧されてきた多数派のスンニ派が怨念を爆発させ、中東全体に不安が広がる恐れがあること、②シリアはリビアと違って石油埋蔵量が限られ、欧米が犠牲を払って介入するメリットが少ないこと、③シリアはロシア艦隊の補給基地のある戦略的友好国であり武器輸出対象でもあること。
(参照:YOMIURI ONLINE)  


民衆が立ち上がり、民主国家の樹立を求めるのはグローバルな流れであり、もう止められないと思います。しかしその実態は複雑で、民衆は国際政治の思惑によって支援され、また放置されます。シリアにおける「アラブの春」が非暴力の運動に留まることができたならば、これほどの内戦にはならず、犠牲者もずっと少なくて済んだのではないか。そう考えるのは、中東の実態を知らない者の非現実的な思いに過ぎないのでしょうか。

日経新聞

【記事】 不動産の売買復調

  • 大都市圏のオフィスビルや賃貸マンションなどを中心に、不動産取引に復調の兆しが出ている。
  • 1~6月の上場企業(不動産投資信託を含む)による不動産売買額は、1兆1375億円となった。前年同期比10%増で、半期ベースでは金融危機後最大となった。
  • 低金利を背景に不動産投信が活発に物件を取得しており、不動産価格全体を下支えする可能性もある。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 幻の大観

  • 日本画の巨匠、横山大観の作とみられる絵を警視庁が所蔵していることが、同庁への取材で分かった。
  • 警視庁は「真贋はわからない」としているが、大観の孫で横山大観記念館の館長である横山隆さんは、絵の写真を見て「ほぼ間違いなく真作。未発表の作品だ」と話している。
  • 警視庁によると、絵は以前、日本陸軍近衛師団が所有したが、警視庁警察学校に寄贈された。現在は警視庁本庁舎の公安委員会室に飾られている。警視庁は「真贋鑑定をするつもりも、一般に公開するつもりもない」としている。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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