2013.11.19 tue

新聞1面トップ 2013年11月19日【解説】「普遍の原理」の未来

新聞1面トップ 2013年11月19日【解説】「普遍の原理」の未来


【リグミの解説】

リンカーン大統領の演説と日本国憲法
 
150年前の今日、当時のリンカーン米大統領は、ペンシルバニア州ゲティスバーグの演説で「人民の、人民による、人民のための、政治を地上から絶滅させない」を語りました。本日の日経新聞のコラム「春秋」がこの話題を取り上げ、日本国憲法の前文に言及しています。
 
 
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。」(日本国憲法前文の一部)
 
 
日本国憲法の起草を主導した当時の米国人は、ゲティスバーグの演説を踏まえたのではないかというのが「春秋」の見立てです。リンカーンは、南北戦争を主導した北軍の指導者として、奴隷解放が戦争に勝利し連邦制を維持するために不可欠と考えたといわれます。かならずしも奴隷解放論者ではなかったリンカーンは、「人民」(People)という言葉にどれほどの普遍性を込めようとしたのでしょうか。
 
 
ケネディ大統領の演説、キング牧師の演説
 
リンカーンの演説から100年後の1963年11月22日、当時のケネディ大統領が暗殺されました。ケネディは、1961年の大統領就任演説で国民に呼びかけました。
 
 
「わが同胞アメリカ国民よ、国家があなた達のために何ができるかを問うのではなく、あなたが国家のために何ができるかを問うて欲しい」と語りました。
 
 
リンカーン演説に匹敵するケネディ演説がなされたとき、黒人はもはや奴隷ではありませんでした。しかし「同胞アメリカ国民」(my fellow Americans)と呼びかけられた中に含まれたはずの黒人には、いまだ公民権が与えられず、合法的に差別されていました。
 
 
ケネディが凶弾に倒れる3ヵ月前、黒人公民権運動を主導したマーティン・ルーサー・キング牧師が、米国の輝かしい演説史に名を連ねることになる演説「私には夢がある」をワシントンで行いました。
 
 
「私には夢がある、つまりいつの日か、この国が立ち上がり、『我々はすべての人々は平等に作られている事を、自明の真理と信じる』というこの国の信条を真の意味で実現させることだ。」
 
 
キング牧師が引用した一文は、米国の独立宣言です。「すべての人々は平等」(all men are created equal)こそ、米国人の原点です。米国は、移民の国であり、人工的に始まった国家です。多様な価値観や背景をもった人々をひとつに束ねるために、国家のリーダーたちは、国民が共有できる理念、従うべき明文化されたルール、そして国を動かす効率的な仕組みを必要としました。
 
 
人類普遍の原理づくりに参加する
 
「人類普遍の原理」とは何でしょうか。米国の歴史は、「平等」の理念を現実に移植する苦難の歴史ととらえることができます。米国初の黒人大統領となったオバマ氏は、2009年1月の就任演説で、英国から移民した清教徒も、その後の欧州の各国の移民たちも、アフリカ大陸から連れてこられた黒人奴隷も、遅れてやってきたアジアの移民たちも、全員が「先行世代の贈り物を受け取る恩恵と、それを継承する義務があるアメリカ人だ」という意味の演説をしました。
 
 
「人類普遍の原理」は、誰かから押し付けられたものではありません。私たち日本人は、たまたま明治維新後の歴史のはざまで、米国人主導の憲法を最高法規とすることになりました。そのことをどう考えるかは、人それぞれです。ひとついえることは、「人類普遍の原理」は、はじめから完成されたものとしてあったわけではありません。世界中の人々が、さまざまな文化や歴史の多様性の中から、次第に紡いでいきつつある共通理念です。私たち日本人もまたその年譜に連なっています。世界史に残る演説が、いつか日本からも発せられることを願います。
 

(文責:梅本龍夫)



  1. 特定秘密 首相の関与強化 自公み合意へ 指定責任を明確化
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131118-OYT1T01235.htm
  2. 核燃料4本取り出す 福島4号機、初日 輸送容器に収容
    http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20131118-OYT1T01700.htm
  3. 自動車運転 事故ゼロの夢 クルマ未来へ 1

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 首相、第三者基幹的に関与 秘密保護法案 自公み、修正妥協
    http://www.asahi.com/articles/TKY201311180346.html?ref=com_top_pickup
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    http://www.asahi.com/articles/TKY201311180301.html
  3. 命つなぐ、支援 フィリピン 自衛隊活動本格化
    http://www.asahi.com/articles/TKY201311180690.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 与党・みんな修正大筋合意 秘密保護法案 首相関与明記
    http://mainichi.jp/select/news/20131119k0000m010096000c.html
  2. 核燃料4体取り出し 福島4号機 廃炉が作業本格化
    http://mainichi.jp/shimen/news/20131119ddm001040161000c.html
  3. 重要5項目に非課税枠 TPP 輸入増の譲歩案 政府検討
    http://mainichi.jp/shimen/news/20131119ddm001020163000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 最高益企業 危機後で最多 今期経常益6社に1社
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASGD180B2_Y3A111C1MM8000/
  2. 新たな脅威備え急ぐ NECが司令塔 変わる日本の「守り」 上
  3. 軽減税率の検討指示 首相、消費税10%時に
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18034_Y3A111C1MM8000/?dg=1

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 秘密保護法案 与党・みんな 大筋合意 週末に衆院通過公算
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131119/plc13111900320000-n1.htm
  2. 燃料取り出し開始 福島4号機 廃炉「第2期」に
    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131118/dst13111816030010-n1.htm
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    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131119/biz13111907390004-n1.htm

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 綱渡り作業開始 容器落下リスク 1秒に1センチつり上げ 核燃料1533体 移送に1年余 福島第一4号機
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013111902000121.html
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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013111902000122.html
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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013111902000120.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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