2013.11.12 tue

新聞1面トップ 2013年11月12日【解説】】「秘密」と「公開」

新聞1面トップ 2013年11月12日【解説】】「秘密」と「公開」


【リグミの解説】

法曹界の反対
特定秘密保護法案に反対する動きが続いています。10月28日には、全国の憲法・メディア法学者142人と刑事法学者129人が法案に反対する2つの声明を発表しました(引用:毎日jp)。
 
 
憲法学者の声明では「基本的人権の保障、国民主権、平和主義という憲法の基本原理を踏みにじる危険性が高い」とし、刑事法学者の声明は「刑事法の人権保障をも侵害する恐れが大きい」ことを反対理由に掲げています(引用:朝日DIGITAL)。
 
 
歴史学会の反対
日本の代表的な歴史研究の学術団体である歴史学研究会は、10月30日に「特定秘密保護法案に対する歴史学関係者の緊急声明」を出しました。同法案に強く反対するとし、以下の4点を指摘しています。
 
1.「特定秘密文書」が公開されることが担保されておらず、歴史の真実を探求する歴史学研究が妨げられる恐れが強い、2.「特定秘密」の指定が恣意的に濫用される可能性が高い、3.歴史学研究者の史料調査において、「特定秘密文書」を史料として入手した際に刑事処罰の対象にされる恐れがある、4.「学問の自由」を含む基本的人権の不当な侵害への配慮がされていない―。
(文章は短く編集。オリジナル文はリンクをご覧ください)
http://rekiken.jp/announcement201311.html
 
国内ジャーナリストの反対
本日の東京新聞1面、朝日と毎日の社会面では、テレビキャスターの田原総一郎氏、鳥越俊太郎氏らジャーナリスト8名が同法案に反対する声明を発表したと報道しています。「秘密をチェックする機関もなく、内閣の承認で永遠に情報公開されない。こんなばかばかしい法律はあってはならない」と田原氏は記者会見で語っています。
 
海外ジャーナリストの反対
日本外国特派員協会も11日に、ルーシー・バーミンガム協会長名で同法案に反対する声明を発表。「本法案の条文によれば、報道の自由はもはや憲法で保障された権利ではなく、政府高官が『充分な配慮を示すべき』対象に過ぎないものとなっています」「特に、われわれが懸念しているのは、同法案の中にジャーナリストに対する起訴や禁固を可能にする条文が含まれており、与党議員の一部が、それに順ずる発言を行っていることです」(引用:FCCJ)。
 
 
世論は「慎重対応を」
本日の朝日と毎日は、定例世論調査で「特定秘密保護法案」について問うています。
 
<朝日新聞>
・ 特定秘密保護法案に「賛成」30%、「反対」42%
・ 秘密にされる情報の範囲が広がる不安を「大いに感じる」19%、「ある程度感じる」49%、「あまり感じない」22%、「まったく感じない」5%
・ 今国会での成立について「成立させる必要がある」20%、「成立させる必要はない」64%
 
<毎日新聞>
・ 特定秘密保護法案の非公開情報の延長について「問題だ」64%、「問題ではない」27%
・ 政府は都合の悪い情報は隠すおそれがあると「思う」85%、「思わない」10%
・ 特定秘密保護法案に「賛成」29%、「反対」59%
・ 今国会で「成立させるべきだ」8%、「今国会にこだわらず慎重に審議すべきだ」75%、「廃案にすべきだ」11%
 
「賛成」でも「反対」でも一緒に検討すべき6点
メディアに登場する情報は、上記のとおりおしなべて秘密保護法案を批判し反対する立場であり、世論調査結果も「反対」が多く、賛成の立場でも「慎重対応」を求めています。物事には、さまざまな「ビュー」(見方、考え方、立場)があります。ただ、今回の法案は、特定秘密保護の趣旨に賛同する立場の人からも大きな懸念の声が上がっているのが特徴です。
 
同法案は、特定秘密の対象として「防衛」「外交」「スパイ防止」「テロ対策」の4分野を指定しています。国家の安全保障上、秘密にすべき情報があること自体を否定する人は少ないと思います。問題は、その定義の仕方や運用の仕方です。今国会での法案成立をあせらず、少なくても下記の6点を建設的に議論し、法案の骨格を作り直す必要があると思います。
 
1. 特定秘密の定義と設定ガイドラインを明確化する
2. 第三者機関のチェックが二重三重に働く機構を設計する
3. どのような情報も例外なく秘密期間を有限とする
4. 行政情報の書類は秘密のレベルにかかわらず破棄せずアーカイブ化する
5. 特定秘密の定義・運用と情報公開の定義・運用をセットで法案化する
6. 現実的な選択肢として「時限立法」を検討する
 
参照:「その他」がいっぱい <リグミの目>2013年11月11日号
 
 

(文責:梅本龍夫)



  1. 帰還条件「20ミリ・シーベルト以下」年間被爆 規制委案まとまる
    http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20131111-OYT1T00849.htm
  2. レイテ島無残 家も水も食べ物もない
    http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131109-OYT1T00943.htm
  3. 中学校「もう1年」選択も 変わるか6・3・3制

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 原発事故対策 国が前面 除染費負担 帰還断念者を支援
    http://www.asahi.com/articles/TKY201311110498.html
  2. レール異常値 改ざんか JR北、国の監査前に
    http://www.asahi.com/articles/TKY201311110566.html?ref=twitter
  3. 5メートルの高潮 命と家奪った フィリピン台風 死者1774人確認
    http://www.asahi.com/articles/TKY201311110531.html?ref=twitter

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 秘密保護法案「反対」59% 審議「慎重に」75% 本社世論調査
    http://mainichi.jp/select/news/m20131112k0000m010104000c.html
  2. 帰還困難域外も移住支援 福島原発事故 政府・与党検討
    http://mainichi.jp/shimen/news/20131112ddm001040269000c.html
  3. 非常事態を宣言 フィリピン 熱帯低気圧接近
    http://mainichi.jp/shimen/news/m20131112ddm001040268000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 武器技術、トルコと開発 政府検討 戦車エンジンで 三菱重が合弁
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1103X_R11C13A1MM8000/
  2. まずは短期「世界を見て」海外への留学 倍増めざせ 大学は変われるか
    http://www.nikkei.com/article/DGKDZO62436950S3A111C1MM8000/
  3. 被爆基準、個人の線量に 規制委案 福島帰還へ実質緩和
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS11049_R11C13A1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. NSC初代局長 谷内氏 法成立後、年内に始動
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131112/plc13111207550004-n1.htm
  2. 五輪顧問会議長 森元総理で調整
  3. 傘下社福法人も派遣 徳洲会、選挙運動500人規模
    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131112/crm13111207560001-n1.htm

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 原発ゼロへ共闘 細川・小泉元首相「国民運動を」
    http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111290071127.html
  2. 自衛隊「違憲活動」 秘密保護法案 防衛相幹部答弁 武器など非公表に
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013111202000128.html
  3. 自動ブレーキ車で事故 マツダ試乗会 衝突、2人重軽傷
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013111202000127.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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