2013.10.24 thu

新聞1面トップ 2013年10月24日【解説】新しい教育、新しい社会

新聞1面トップ 2013年10月24日【解説】新しい教育、新しい社会


【リグミの解説】

小中一貫教育
小学校と中学校をひとつにしたらどうなるでしょうか。朝日新聞は、1面トップ記事で、「公立の小中一貫校が急増」と伝えています。同紙の調査によると、全国で既に100校が開校しています。最多は東京都の18校で、宮崎県の12校、広島県の9校がトップ3です。
 
まだ国の制度がないため、100校の小中一貫校は、①小中の敷地が同じ、②9年間を通したカリキュラムを持つ―という最も一体化が進んだケースです。こうした試みが増えている背景には、地方分権の流れがあります。また学校の統廃合計画とからめたケースも少なくないようです。
 
教育改革を進める自治体は、小中一貫校を検討する背景として、①「中1ギャップ」が問題視されていること、②身長の伸びが早まり、発達の段階が小4~5年ごろに移っていること―を挙げています。
 
「中1ギャップ」
「中1ギャップ」は初めて聞いた言葉ですが、「小学生から中学1年生に進級した際に被る、心理や学問、文化的なギャップと、それによるショック」と定義されています。中学に入る時に「異なる小学校出身者同士の人間関係」が始まることが第1の理由です。第2に「勉強の負荷の増大」することも大きな要因です。さらに第3の理由として「先輩後輩という関係の出現」が大きく影響しています。4番目に「いじめが激化」が挙げられます(引用:WIKIPEDIA)。
 
個人的には、特に「先輩後輩関係の出現」に注目しました。これは、12歳ぐらいの子どもにとって、大きなカルチャーショックであると思います。私事になりますが、幼少を北米大陸で数年過ごし、いわゆる帰国子女の初期の世代である筆者は、小学2年生で帰国したとき、学校運営の「集団主義」に驚きました。そして中学になると、これに「先輩後輩」の上下関係が、主として部活などで徹底されるのを体験しました。
 
「集団主義」と「先輩後輩」
「集団主義」と「先輩後輩」は、日本社会のきわだった文化的特徴です。どちらも教育現場で、なかば無意識的な大前提として維持されていると思います。学年や同期という単位でヨコの帰属意識を高め、年齢や組織階層のタテの関係を重視するこの2つの仕掛けは、日本社会の「安全・安心」と「安定・調和」に大きく貢献しています。
 
「集団主義」と「先輩後輩」は同時に、日本社会の課題をも浮き彫りにしています。「空気を読む」「仲間はずれになることを極端に恐れる」傾向は、特に中高生に顕著なように見えます。深刻ないじめの問題や、新しいことに挑戦することを躊躇する(または足を引っ張る)傾向もみられます。
 
社会の変化に前向きに対応する
問題のひとつは、大人の社会が変質してきていることです。戦後の経済成長を支えた日本的経営の三種の神器は、「年功制」「終身雇用」「企業別組合」でした。これが日本企業の強い企業文化の土壌となり、1980年代に日本の経済力が頂点を極める原動力となりました。しかしバブル崩壊後は、成果主義が年功制を崩し、リストラによって終身雇用は終わりを告げました。そして、非正規雇用の増大によって、企業別組合は自社の正規雇用だけを守る組織に後退していきました。
 
好むと好まざるとにかかわらず、私たちは、新しい「集団主義」の在り方や、時代に即した「先輩後輩」の関係の構築に向かわなければならない時代を迎えています。日本社会の優れた文化的資質をどうやって新しい世界に合わせて進化させていくか。20年かけて壊れたものは、20年かけて再構築する必要があります。
 
今の小学生たち中学生たちが大人になったとき、「安全・安心」と「安定・調和」が維持され、しかも「いじめ」が自然に解消し、一人ひとりが新しいことに挑戦できる活き活きとした社会にすることは可能か。小中一貫教育は、課題も多いと思いますが、日本社会に変革をもたらす可能性があります。朝日の記事は、小中一貫によって「中学生が小学生を思いやるようになった」と伝えています。大事なヒントがここにあるように感じます。
 

(文責:梅本龍夫)



  1. NSC事務局6班50人 「同盟国」や「中朝」 自衛官十数人
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131023-OYT1T01374.htm
  2. 高齢者ら54人 島外避難 伊豆大島
    http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131023-OYT1T01125.htm?from=main3
  3. 規制庁に人材育成部門 独法を統合 原発専門家を活用

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 公立の小中一貫、急増100校 学力向上を重視 本社調査
    http://www.asahi.com/articles/TKY201310230726.html
  2. 台風接近、100人超が島外へ 伊豆大島 避難勧告を検討
    http://www.asahi.com/articles/TKY201310230729.html
  3. 英語授業 小3から 文科省方針 小5で正式教科に
    http://www.asahi.com/articles/TKY201310230376.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 原発「建て替え」明記検討 政府、依存を断続 エネルギー計画
    http://mainichi.jp/select/news/m20131024k0000m020138000c.html
  2. 減反見直し法案提出へ 来年国会 コメ農家を淘汰 政府・自民
    http://mainichi.jp/select/news/20131024k0000m020128000c.html
  3. 豪雨情報 幹部に直接 自治体連絡 気象庁が運用変更
    http://mainichi.jp/select/news/20131024ddm001040084000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 半導体部門の社員半減 パナソニック、7000人に 一部工場の売却交渉
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD230PQ_T21C13A0MM8000/
  2. 長期投資が運用力鍛える プロを増やせ 金融ニッポン 第8部 飛躍の条件 2
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASGC1200P_S3A011C1MM8000/
  3. 企業 増益幅が拡大 マツダ6倍、東芝5割増 4~9月営業
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASGD2304M_T21C13A0MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 日米豪で災害救援訓練 来秋、国内初オスプレイも投入 海洋安保 連携の強化視野
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131024/plc13102407520003-n1.htm
  2. 二次災害の恐れ21ヶ所 特別警報級ならば市町村に直接連絡 気象庁
    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131023/dst13102323590023-n1.htm
  3. 安い食材、高いツケ 競争激化「筆滑った」 阪急阪神ホテルズ偽装
    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131024/crm13102408370001-n1.htm

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 欠陥貯水池に雨水移送 泥水で使用停止 福島第一 台風対策、窮地に
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013102402000138.html
  2. 避難基準あいまい 数値策定も徹底されず 届かぬ警鐘 大島土石流
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013102402000136.html
  3. 消費増税で派遣誘発 企業の「仕入れ」扱い削除
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013102402000137.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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