2013.10.18 fri

新聞1面トップ 2013年10月18日【解説】歴史の法廷に立つ覚悟

新聞1面トップ 2013年10月18日【解説】歴史の法廷に立つ覚悟


【リグミの解説】

特定秘密保護法案の集成
政府は特定秘密保護法案の修正案を自民党と公明党に提示しました。公明党と要求を受け、「知る権利」と「取材の自由」への配慮規定を盛り込みました。閣議決定を経て国会に提出される予定です。各紙の報道スタンスを比較します。
 
読売:1面2番記事、政治面に関連記事。全体として客観的に事実を記述する範囲にとどめています。政治面記事の最後に「政府が『政党業務』とみなさなければ、報道関係者が処罰の対象となる恐れが残る」と懸念を示し、「知る権利の保障と機密保全のバランスを実際にどうとっていくのかが、法成立後の課題に浮上している」と指摘。全体として控え目な論調です。
 
朝日:3面の解説記事で「公務員らへの罰則を強化して情報漏洩を防ぐ法案の本質は変わらず、言論統制への懸念はなお残る」としています。社説で「問題なのは、何が特定秘密に指定されるかさえわからず、指定が妥当かどうかの検証ができない点だ。秘密指定の有効期限は5年が上限だが、何度でも延長が可能だ。これでは永久に秘密とすることができる」と具体的な問題点を指摘しています。連続企画で有識者の意見も掲載しており、全体としてこのテーマを批判的な視点から熱心に報道しています。
 
毎日:1面3番記事、総合面で「取材の自由なお懸念 罰則、完全排除せず」とのタイトルで正当な取材活動の委縮・制限につながる懸念を表明。また1面コラム「余禄」では、終戦時に政府や地方行政が大量の機密文書を焼却した史実(外務省は約8000冊を焼却)に触れ、2つの教訓を述べています。「①役人に機密を指定させればその範囲が際限なく広がること」「②機密はそれを決める政治家や役人の責任と共に歴史の闇へと消えかねないこと」。
 
日経:総合面記事で「特定秘密と不当取材は線引きが曖昧で裁量が残る。通常の取材活動が処罰される可能性がなくなったとはいえない」と懸念を表明しています。
 
東京:1面2番記事で「知る権利と取材の自由『配慮』努力規定どまりで、政府が不都合な情報を恣意的に機密に指定する懸念も解消されていない」と指摘。見開き展開の特報面では、「何が秘密?それは秘密です」というわかりやすい表現で、「権力が秘密を恣意的に定められる状況」に危機感を表明しています。
 
機密情報と情報公開
特定秘密保護法案が浮上してきた9月19日の「リグミの解説」で次の指摘をしました。
・ 「秘密保護法案」に対しては、「情報公開法案」をセットで上程する。これが大原則だと思います。今は機密性が高くとも、未来には歴史の証言としての価値が優先されます。「どのような政治判断・行政判断も歴史の法廷に立つ」という覚悟が、私たちの情報意識を育てます。「情報」は生き物です。みなで大切に育てる心掛けが肝要です。
 
 
今回の法案の問題は少なくても3点あると思います。第1が「国家機密の定義のあいまいさ」、第2に「チェック&バランスの仕組みが見当たらないこと」、そして第3に「どのような情報も、保護し秘匿する視点と、開示し共有する視点の両面から見る必要」という点です。
 
「歴史の法廷」に立つ機密
政治家や官僚の歴史的証言を引き出す「オーラル・ヒストリー」という聞き取り調査を続けている政治学者の御厨貴氏が、講演で興味深い逸話に触れていました。ある大物官僚にインタビューしたところ、「本当のことは一切話さない。話すとすれば全部ウソになるがそれでもいいか」と言われたそうです。何回もセッションを重ねましたが、結局有用な情報は得られなかったそうです。
 
これをりっぱな官僚、プロフェッショナルの倫理観と見るか、歴史の審判を仰がない間違った姿勢と見るかは人によって違うと思います。私自身は、企業のトップシークレットを扱うコンサルティングをしてきた職業経験から、企業機密は時間が経っても開示しない姿勢できました。だから、この官僚の気持ちも理解できます。
 
しかし、企業と国家では意味が違います。どのような国家機密も、いずれは歴史の法廷に立ち、公の審判を受けるのが民主主義の大前提です。特定秘密保護法案の秘密指定の有効期限に関して言えば、5年上限を延長できるのは3回で計20年を最高年限とすべきではないでしょうか。機密と公開のバランスは、歴史の時間軸で判断する必要があります。機密は何年までが限度か。こうした議論は、私たちの「歴史認識」を鍛える一助となります。

(文責:梅本龍夫)



  1. 特別警報 運用見直しへ 離島豪雨の対応念頭 台風26号 伊豆大島 死者22人に 27人不明
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131017-OYT1T01048.htm
  2. 秘密保護法 成立の公算 修正案、与党に掲示
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131017-OYT1T00933.htm
  3. 井山棋聖「大三冠」名人奪取、史上2人目
    http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20131017-OYT1T01014.htm

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 防災計画あったのに 火山の町「土砂災害の認識甘かった」死者22人、捜索は難航 伊豆大島
    http://www.asahi.com/national/update/1018/TKY201310170566.html
  2. トヨタ・日立、ベア前向き 政労使会議トップ表明
    http://www.asahi.com/business/update/1017/TKY201310170443.html
  3. 名張毒ブドウ酒 再審棄却 科学的根拠十分示せず

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 町、警戒情報周知なし 防災計画運用せず 伊豆大島
    http://mainichi.jp/select/news/20131018ddm001040045000c.html
  2. 日立「ベアは選択肢」政労使会議 トヨタも含み
    http://mainichi.jp/select/news/20131018ddm001020055000c.html
  3. 最終案に「知る権利」秘密保護法案に明記
    http://www.shinmai.co.jp/newspack3/?date=20131016&id=2013101601001701

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 雇用 大幅緩和見送り 労働時間規制を継続 戦略特区 都心のビル容積に特例
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS1705M_X11C13A0MM8000/
  2. 外に開いて にぎあう地方 外国人が運ぶ円安の恵み 日本経済 脱デフレへの助走③
    http://www.nikkei.com/article/DGKDZO61246740Y3A011C1MM8000/
  3. 日立会長ベア検討 賃上げ巡り トヨタ社長も含み 政労使会議
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASDC1700J_X11C13A0MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 行政不作為 被害拡大か 伊豆大島 死者22人不明27人に
    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131017/dst13101722130030-n1.htm
  2. 米、債務不履行を回避 大統領「世界からの信頼に傷」
    http://sankei.jp.msn.com/world/news/131017/amr13101710190006-n1.htm
  3. トヨタ 賃上げ前向き 政労使会議 日立「ベアも選択肢」
    http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131018/mca1310180608002-n1.htm

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 76歳女性 力尽きる 救助27時間「頑張れ」届かず 伊豆大島
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013101802000134.html
  2. 「配慮」努力規定どまり 知る権利 取材の自由 秘密保護法案決定へ
    http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013101701001665.html
  3. 5時間半 役場不在 町幹部、防災担当者ら 台風接近時、一時帰宅
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013101802000133.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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