2013.10.17 thu

新聞1面トップ 2013年10月17日【解説】高度な妥協点を探る政治を

新聞1面トップ 2013年10月17日【解説】高度な妥協点を探る政治を


【リグミの解説】

国会答弁における原発論議
自民党が圧倒的な強さを獲得した国会が始まりました。新聞各紙は、安倍首相に対する衆院代表質問の様子を社説で論じています。東電福島第1原発の汚染水漏れ問題について、各紙の主張をピックアップします。
 
読売:「野党は建設的な論戦を仕掛けよ」
・ 海江田・民主張代表は、言葉尻をとらえるような質問で物足りない。原発事故の汚染水問題の処理に対して具体的提言をして議論を深めるべきだ
朝日:「野党は論戦力を磨け」
・ 原発の汚染水漏れ問題に関する首相発言について応酬しても水掛け論だ。民主党は政権時代の対応の甘さを検証し、具体的な対案を示す責務がある
毎日:「野党の連携が試される」
・ 海江田氏は、民主党が主張する脱原発依存に向けたエネルギー戦略について議論を広げようとする姿勢がみえない。原発政策をめぐる踏み込んだ論戦を提起すべきだ
日経:「対立軸を示せない国会論戦」
・ 安倍政権の対応を不十分と批判する一方、民主党も廃炉に向け最大限に協力すると言わざるを得なかった。野党として対立軸を示せなければ、党の再生はおぼつかない
東京:「『原発』なぜ問い詰めぬ」
・ 民主党の海江田代表は、原発の存廃に関する言及が全くなく耳を疑う。「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」は国民との契約だ。選挙公約を追及しないとしたら裏切りだ
 
国会と株主総会
私事になりますが、10年ほど前まで上場会社で、毎年の株主総会の答弁の矢面に立つ経験をしていました。会社側が株式の大半をコントロールしていたので、一般株主や機関投資家の質問や動議で議案が否決されることはない状況でした。それでも、経営全般のリスクや戦略など、取り組みの一貫性や成果が問われる場であるため、役員は緊張感をもって準備を進め本番に臨みました。
 
政治家と経営者は別の職業であり、国会論戦と株主総会はほとんど似たところもありません。だから比較できる話ではないのですが、「緊張感」や「準備」、そして「率直な対話や議論」という観点では参考になる部分もあります。与党は、たとえ圧倒的な数の優位があっても、準備周到で臨むはずです。そして紋切型の無難回答を用意し、野党の追及をかわす作戦を基本にするでしょう。野党がこの状況に風穴をあけるには、よほどの準備を積む必要があります。自分たちの攻め口の切っ先を徹底して研ぐ必要があります。海江田・民主党代表には、そうした姿勢はまったく見られませんでした。
 
放置できないテーマを徹底議論するのが国会
通り一遍の説明をし、質疑は建前論、一般論で無難にやり過ごす。そして議論を尽くしたという形を残し、議案審議に移る。このような儀式めいた株主総会が、かつての日本企業の当たり前でした。今でもそういう企業は多いと言われます。株主側が結託し、立場を同じくし、株式を集めて対抗しない限り、企業側、経営者側の本気を引き出すことはできません。同様に、国会は野党がどれだけ大意をもって与党を責められるかにかかっています。
 
民主主義は、徹底した対話と議論によって、高度な妥協点を探る方法論です。対話と議論の場は国会だけではありません。しかし、野党が本当の力を発揮できる場はここしかありません。
 
原発事故の問題と原子力エネルギー政策は、日本の重大テーマですが、唯一のテーマではありません。案件は山積みです。だからと言って、後回しにできるものではありません。水は原発の命です。その水がこの瞬間にも汚染水となって溜まり続けているのです。汚染水は、原発の最終ゴール(廃炉の道筋と核のゴミの処分)に向けて流れ続けています。それがコントロール不可の濁流となる前に、政治は動く必要があります。

(文責:梅本龍夫)



  1. 伊豆大島 死者17人に 台風、43人なお不明 3時間雨量335ミリ 国内2番目
    http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131016-OYT1T00730.htm
  2. 台北故宮展 日本で開催 歴代皇帝の名品 来年 東京・九州で

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 死者17人 不明43人 台風 伊豆大島で土石流 30戸全半壊、250戸被害 町、避難勧告出さず
    http://www.asahi.com/national/update/1016/TKY201310160370.html
  2. 秘密保護法案、公明と合意 政府「取材、正当な業務」
    http://www.asahi.com/politics/update/1017/TKY201310160670.html
  3. 東電援助金、回収に31年 利息800億円、国が負担 検査院調査
    http://www.asahi.com/national/update/1017/TKY201310160671.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 死者17人不明43人に 町、避難勧告出さず 伊豆大島土石流 幅950メートル長さ1200メートル 町長と副町長 出張で不在
    http://mainichi.jp/opinion/news/20131017ddm003040055000c.html?inb=ra
  2. 公明 秘密保護法案了承 政府、来週閣議決定へ
    http://mainichi.jp/select/news/m20131017k0000m010173000c.html
  3. 至宝「翠玉白菜」日本に 台北の故宮博物院展 来年開催
    http://mainichi.jp/feature/news/20131017ddm001040033000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 公共施設 撤去しやすく 再開発へ地方債解禁 来年度、1000件超す要望
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS1602D_W3A011C1MM8000/
  2. 積極投資へ成長の芽探す 潤い取り戻した企業 日本経済 脱デフレへの助走 ②
    http://www.nikkei.com/article/DGKDZO61189430X11C13A0MM8000/
  3. 有期雇用 10年に延長 特区での解雇は対象絞る 政府方針
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1603W_W3A011C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 伊豆大島 集落消えた 土石流 17人死亡43人不明 台風26号
    http://www.sankeibiz.jp/express/news/131017/exc1310170003000-n1.htm
  2. 債務上限引き上げ 米上院が合意
    http://sankei.jp.msn.com/world/news/131017/amr13101701210000-n1.htm
  3. 「最高峰の賞 認められ光栄」世界文化賞 授賞式
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/131017/art13101707430001-n1.htm

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 伊豆大島 死者17人に 台風 土砂崩れ 不明40人超 町、避難勧告出さず
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013101702000112.html
  2. 国民負担794億円 検査院 国援助5兆円で試算 東電賠償
    http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013101601001978.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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