2013.04.04 thu

新聞1面トップ 2013年4月4日【解説】「暗黒」の探究

新聞1面トップ 2013年4月4日【解説】「暗黒」の探究


【リグミの解説】

「暗黒物質」の探究
「暗黒物質(ダークマター)」という、いささかまがまがしい語感の宇宙物質を探求する国際研究グループの成果を伝える記事が、本日の1面を飾っています(読売2番、朝日3番
)。

暗黒物質は、「宇宙にある星間物質のうち電磁相互作用をせずかつ色電荷を持たない、光学的には観測できないとされる仮説上の物質」です。
ビッグバンから137億年経ったという前提でシミュレーションをすると、「宇宙全体の物質エネルギーのうち、74%が暗黒エネルギー、22%が暗黒物質で、水素やヘリウムは4%ぐらいしかない」計算になります(Wikipedia)。

これが事実とすれば、私たちは自分たちの宇宙について、ほとんど何もわかっていないことになるのかもしれません。同時に、
科学の探求が進めば、「暗黒」と思われたものが、宇宙創成のカギを握る「光」であったことがわかるのかもしれません。

安倍政権の「政権工程表」
朝日新聞の連続企画記事「点検100日、安倍政権」を読むと、安倍首相が参院選までは「経済一点絞り」の政権運営を目指していることがよくわかります。昨年末の衆院選中に
各地で演説をした安倍氏は、「金融緩和に対する反応が最も良かったと感じた」とあります。「経済一本でいけると確信した」「大事なのは不動の方針を決めてそれを徹底することだ」と首相は周囲に語りました。

あらゆる利害が絡み合い、主義主張も千差万別の政治の世界では、「不動の方針を決める」ことも、「それを徹底する」ことも容易ではありません。その中で安倍首相が採った路線は、国民の最大公約数の望みである「景気回復」に一点絞りの軸を定めたことです。

同じ経済をテーマにする場合でも、長期的な「経済再生」と短期的な「景気回復」
では手法も違えば、有権者の期待の仕方も異なります。今のところ安倍政権は、短期効果を最優先しています。長期の成果が果たして期待できるのか不明です。練り込まれた「政権工程表」は、7月28日の「参院議員任期切れ」で終わっているそうです。

「政権工程表」以後
夏の参院選で終わる「政権工程表」。そのあと何が出てくるのか。「憲法」「国防」「教育」という単語が、ある価値観をもって首相の口から語られています。「戦後レジー
ム(体制)からの脱却」をたびたび口にしています。ここで問題にすべきは、安倍首相の個人的な価値観や嗜好性ではありません。安倍氏が考える「戦後」とは何か、それがまったく見えてこないことが問題なのです。

今年で終戦から68年が経ちます。連合国諸国と日本国との間の戦争状態を終結させるため締結された平和条約であるサンフランシスコ講和条約の公布(1952年4月28日)から61年経ちます(Wikipedia)。日本は、この長い年月の間、2つの重要な棚卸しを怠ってきました。1つは「戦争の時代」となる戦前・戦中の棚卸しです。もう1つは「平和の時代」を築いた戦後の棚卸しです。

「暗黒」を冷静に探求する
戦前・戦中を一方的に「暗黒」と決めつけ、戦後は「光」であったという歴史認識はあまりに単純化し過ぎでしょう。しかし、「戦後レジーム(体制)」は戦勝国に強制され
た「暗黒」だったとのニュアンスが見え隠れする安倍氏の発言には強い違和感を持ちます。では「戦前・戦中」を貫いていた価値観こそが「光」であったと見立てているのではないか。そういう素朴な疑問が生まれてくるからです。

こういう問題意識をもった国民は少なからずいると思います。しかし、より多くの人々は、安倍政権が「景気回復」を達成してくれればそれでいいと思っているのかもしれません。何事も、短期的に「いい思い」をする時は特に注意を要します。長期的には「こんなはずじゃなかった」となる可能性が高いからです。国際研究グループが冷静に真摯に「暗黒物質」「暗黒エネルギー」を探求するように、私たち一人ひとりも、経済の浮き沈みの水面下にある「暗黒」を冷静に見る必要があります。

(文責:梅本龍夫)





① 【政府広報】 「『0増5減』先行決定」

  • 政府は、与野党合意を待たず、「0増5減」の区割り法案を閣議決定し国会提出する方針だ。与野党の幹事長・書記長会談で、新党改革を除く全野党が「0増5減」の先行処理に反対した。


② 【独自取材】 「『暗黒物質』の痕跡か」

  • 「暗黒物質(ダークマター)」の観測に挑んでいる国際共同研究チームは3日、暗黒物質が崩壊した時に出る陽電子を捉えた可能性があると発表した。


③ 【独自取材】 「浦和学院、初優勝」

  • 第85回記念選抜高校野球大会で3日、3年連続9度目出場の浦和学院(埼玉)が済美(愛媛)を17-1で破り、初優勝した。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【連続企画】 「周到に政権工程表 ~点検100日、安倍政権(上)」 

  • 安倍政権の看板政策「アベノミクス」の順調な滑り出しの裏には、周到に練り上げた「政権工程表」がある。安倍は「大事なのは、不動の方針を決めて、それを徹底することなんだ」と語る。


② 【独自取材】 「新ミサイル発射の兆候」

  • 北朝鮮は、新型長距離弾道ミサイル「KN08」を日本海側に移動させ始めており、関係国はミサイル発射の兆候とみている。KN08の詳細は不明だが、米本土に届く可能性がある。


③ 【独自取材】 「暗黒物質の痕跡?確認」

  • 欧米やアジアの国際研究グループは、宇宙成分の4分の1を占め宇宙最大の謎の1つである「暗黒物質」が、実際に存在する可能性を示す痕跡を見つけた。


(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【連続企画】 「安息つかの間 ~老いてさまよう」

  • 「マーちゃん」「ハーちゃん」と呼び合った夫婦の妻は若年性認知症となり、特別養護老人ホームなどを7ヵ所移動した。最後の「なのはな苑」で「ハーちゃん」の暴力はなくなり、穏やかに顔になった。そえrからまもなく腹膜炎で亡くなった。


② 【独自取材】 「鳥インフル死者3人に」

  • 中国のH7N9型鳥インフルエンザの感染者が相次いでいる問題で、感染者は計9人、うち3人が死亡した。上海を中心とする華東地区で感染範囲が広がっている。


③ 【独自取材】 「浦和学院初V」

  • 第85回記念選抜高校野球大会の決勝が3日行われ、3年連続9度目出場の浦和学院(埼玉)が9年ぶり2回目の済美(愛媛)を17-1で破り、初優勝した。


(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【企業広報】 「トルコで原発受注へ」

  • 三菱重工業と仏アレバ連合が、トルコの原子力発電所建設計画を受注することが固まった。建設する原発は4基で、総事業費は220億ドル(約2兆円)。


② 【企業広報】 「九電、海外で地熱発電」

  • 九州電力は、インドネシアで地熱発電事業を開始する。伊藤忠商事などと組み、総事業費は1000億円強。日本の電力会社による初の海外での地熱発電事業となる。


③ 【連続企画】 「安全のため?それとも・・・ ~規制、岩盤を崩す(2)」

  • 「『対面イコール安全』の論理が崩れると、もっと大きな規制緩和の波をかぶる恐怖がある」と厚労省幹部は語る。問題は「対面かネットか」ではなく、いずれの販売経路でも「安全と便利」の折り合いをつけることだ。


(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「危うい40年廃炉」

  • 原子力規制委員会は3日、「40年廃炉」に関して例外的に最大20年間延長を認める場合の基準を明らかにした。原子炉や建屋の「特別点検」を電力会社に義務付けるが、重要基準が固まっておらず、制度が形骸化する恐れもある。


② 【独自取材】 「スタンドの被災地少年」

  • 第85回記念選抜高校野球大会で優勝した浦和学院のアルプス席の応援団で、宮城県石巻市の少年野球チームのメンバーたちがいた。津波のあとに浦学の選手たちがボランティアに現れ、用具を支援し一緒に練習してくれた。少年たちは選手たちのファンになった。


③ 【政府広報】 「核燃再処理の稼働延期」

  • 原子力規制委員会は、日本原燃に対し、新規制基準(12月施行)に適合しなければ使用済み核燃料再処理工場の10月の完成を認めないと伝えた。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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